眼科診療内容向上会レポート 眼科新点数と審査事情を解説
4月19日、京都ホテルオークラにて眼科診療内容向上会が、京都府眼科医会・京都府保険医協会の共催で開催された。参加者は87人。京都府眼科医会保険医療委員会委員の松本康宏氏が講師を務め、新点数の留意事項と最近の審査事情について解説を行った。座長は京都府眼科医会理事の松田敏央氏。
今回もレセプトの審査に関するお話でした。前回は、支払基金一次審査での「返戻の三原則」についてのことでした。その続きとして、今回は「保険者再審査の現状」と題して、支払基金における保険者からの再審査請求レセプトについての報告でした。ある月の統計で全100件中、(1)「納得して査定」が10件(2)「納得でも返戻・原審」が10件(3)「気持ちはわかるが原審」が16件(4)「保険者の理解不足・勉強不足」が30件(5)「再審査請求の理由が理解できない」が34件—でした。それぞれについての具体例を挙げ説明がありました。
(1)は疑い病名のままでの投薬や、9カ月前のCL検査料算定後の別疾患での初診料算定、再診時の屈折検査・矯正視力検査の同時算定などについて。(2)は急変等のない15年前からの緑内障の連月・隔月の眼底三次元画像解析、感染等のコメントのない眼瞼腫脹に対する抗生剤投与、「眼瞼異物」での結膜異物除去のようなややこしい症例、初診後7年たつ「網膜静脈分枝閉塞症・ステロイド緑内障」での隔月の眼底三次元画像解析など。(3)は「近視」のみの初診時の生体染色は可能であるが、多数例では返戻も。また「近視性乱視」のみの初診時の立体視には該当病名の追加が望ましい。他にはアレルギー性結膜炎での抗生剤の投与といったものなど。(4)と思われるものには、「網膜裂孔・網膜剥離」に対する網膜光凝固術(特殊)、「角膜異物」でのヒアルロン酸点眼薬は異物除去後で算定可です。理解ができない(5)には、7月前に初診の「ブドウ膜炎」に対してのブロナック投与(緩解・再燃の可能性)、「視神経乳頭陥凹拡大・結膜炎・近視」で再診2回、眼圧2回、眼底(両)2回がなぜだめなのかなど、審査委員が理解できない保険者からの再審査請求がありました
その他、保険者・審査委員ともに注目している項目として、眼底三次元画像解析の算定過多、初診割合の多さなどの話が続きました。
最後に短期滞在手術等基本料3について、適応されるのは病院のみだが、両眼の白内障手術予定で入院手術をする場合、5日目までに両眼の手術をすると、基本料のみの算定となり、実質赤字となる可能性がある旨の説明がありました。診療所から病院に白内障手術の紹介をするときに、頭に置いておく必要があると訴え、向上会は終了いたしました。
(上京東部・草田 英嗣)