看護職2万人が過労死危険レベル/日看協が交代制勤務で調査
交代制勤務の看護職員の約4%が過労死危険レベルの月60時間を超える時間外勤務を行っている実態が、日本看護協会の「時間外勤務、夜勤・交代制勤務等緊急実態調査」で分かった。日看協はこの結果から、全国で約2万人の看護職が過労死危険レベルの勤務についていると推計。2008年10月に2人の看護師が過労死認定を受けたことも踏まえ、看護職の交代制勤務の負担軽減と残業時間の低減を図るため、残業をしないで「帰る」ことを目指す「ナースのかえる・プロジェクト」に取り組む方針を示した。
調査は、看護職の時間外勤務や交代制勤務の実態のほか、疲労の度合いを把握する目的で行った。日看協によると、全国レベルで看護職個人を対象に時間外勤務などを調査したのは今回が初めて。看護職員と看護管理者を対象とする調査に加え、機関紙などを通じて公募した15人の協力者についてタイムスタディーを行った。看護職の調査対象は、日看協会員から無作為抽出した病院勤務の看護職1万人で、3010人から有効回答を得た。看護管理者は2500病院を対象に調査票を送付し、1425人から回答を得た。
看護職員の調査結果によると、交代制勤務に就いている1728人のうち74人(4.28%)が月60時間を超える時間外勤務を行っていた。特に3交代勤務者の57.9%が、勤務終了から次の勤務までの間隔が6時間以下になったことがあると回答し、十分な休息が取れない場合があることも分かった。
年齢階層別では、20代がほかの世代よりも時間外勤務が長く、平均で月25.9時間に及んだ。さらに、20代の75%で時間外勤務が月35時間を超えていた。また、20代の看護師が疲労感を特に強く感じていることが分かった。申告した残業時間は、実際の残業時間の約4割にとどまり、未払い残業の実態も明らかになった。
看護管理者の調査では、「職員定数を増やすことができない」「欠員のまま充足されない」などが労働時間管理の課題として挙がった。日看協は、人員補充が進まない背景には、医療政策や医療保険財政などの問題があると指摘している。(4/27MEDIFAXより)