相楽医師会と懇談
2月23日 ホテルフジタ奈良
社会保障後退させない活動を
協会は2月23日、相楽医師会との懇談会を開催。地区から41人、協会から10人が出席した。懇談会は小澤勝副会長の司会で進行。協会からは「三党合意の結果成立した『社会保障制度改革推進法』の問題」、「開業医医療の今後の方向」について、さらに地区から挙げられた「TPPが日本の医療と諸外国の医療に及ぼす影響と米韓FTAが韓国医療に及ぼしたこと」「マイナンバー法案と日本の医療の今後との関連」「開業医向けヒヤリハット事例についてのまとめ」の話題について情報を提供した。
相楽医師会・小堤國廣会長が「自民党政権が復活し、経済界が内閣を牛耳るような体制が再びでき上がり、医療崩壊が始まるのではないかという懸念を持っている。そういう様々な問題について話し合いたい」と挨拶。続いて協会の関理事長は「TPPを含め社会保障などの問題について、十分な批判精神を持ちたい。特に社会保障を後退させないよう活動を続ける」と挨拶した。
意見交換では、当日、日米首脳会談において、TPPについての共同声明が出され、参加へ一歩進んだとの危機感が高まる中、韓米FTAの実情からTPP参加によって日本に起こりかねない具体的な問題を協会が説明。地区から問われた参加のメリットについては、GDPを10年間で2・7兆円(経済産業省試算)押し上げる程度の効果はあるようだが、一方で農業の壊滅は避けられない。医療面も、一部の営利病院にはメリットがあるのかもしれないが、国民皆保険制度崩壊の危険があり、薬剤についても輸入に頼っていることなどから、広い視野で見て日本にとってデメリットを上回るメリットはないとした。これに対し地区からも、医療を守る立場から反対であると明確に示したいと述べられた。
また、協会は生活扶助費基準額の引き下げについても言及。この問題を社会保障給付全体にかかる大きな問題と捉えている。その他にも、規制改革会議が混合診療を進めるという方向で議論することが決定したこと、マイナンバー法案など、さまざまな面からの医療の産業化、国民皆保険制度の崩壊に危機感を持っていることを訴えた。
地域包括ケアについては、京都府が「京都式地域包括ケア」「京都式看取り」など独自性を打ち出し、具体的な議論が行われていることにも触れ、医療者から意見を出すことの重要性を述べた。
開業医向けヒヤリハット対策については、まずはその場ですぐに報告することや、カルテとは別に報告書を作り、共有することで、重大事故を防ぐ一助となることを訴えた。