相楽医師会と懇談
2月19日 ホテルフジタ奈良
TPP等経済主導の施策に懸念
協会は2月19日、相楽医師会との懇談会を開催した。地区から41人、協会から5人が参加し、相楽医師会・柳澤衛副会長の司会で進められた。同会・藤木新治会長から、「政権交代当初、民主党には期待と高揚感が募っていたが、いまや閉塞感だけが漂っている。活発な意見交換を行い、実りある会議としたい」と挨拶があった。
後期高齢者医療制度および特定健診について地区から、(1)メタボリック症候群に特化した内容である(2)75歳以上は義務化されていない(3)健診受診率が目標(65%)達成の度合いによって当該市町村国保への後期高齢者支援金の加減算が科せられるなどの問題点があるとしながらも、一方で、「健康寿命の延伸目的で、予防医療を推進し、治療へつなげるメカニズムは評価できる」とし、制度廃止後も保険と一体化した仕組みを必要視する意見が出された。これに対し協会から、特定健診について、「自己責任を前面に押し出し、医療にかかる被保険者を減らすことで医療費を抑制するための制度」としての側面もあると指摘し、さらに「国が責任を持つ社会保障に逆行する医療システムを目指すものであり、本来は市町村の保健衛生施策として実施すべき」との認識を示した。
また地区から「国保は広域化される構想だが、そもそも医療とは市町村レベルの小さい単位で運営がなされるべきなのか、それとも国レベルの大きな単位で運営がなされるべきなのか」との疑問が出され、これに対し協会は、「財政は国の責任で行い、運営は市町村単位で行うべきと考える」と述べ、「日本の医療制度は過渡期に差し掛かっている。世界中で高く評価されている日本の皆医療保障型の皆保険制度、医療制度を守っていかなくてはならない」と奮起を呼びかけた。
次にTPPや医療ツーリズムに関し、厚労省ではなく経済産業省が中心となって施策を進めていることについて地区から、「医療を経済の起爆剤に使おうとする発想は疑問に感じる」との意見や、「混合診療の解禁に繋がる可能性が否定できない」など、TPPや医療ツーリズムに対して反対の声が相次ぎ、「経済主体でなく、何が日本の医療にとって大切か、原点に戻り見直すべき」との意見が出された。
協会からは、「TPPは環太平洋とはいえ、アメリカと中国、日本が軸となる。アメリカは日本の完成された医療資源を市場として狙っている」と指摘した上で、「厚労省は、保険診療崩壊の危機であるという認識が十分でない。協会としても混合診療の本格解禁につながることを危惧しており、警鐘を鳴らしていきたい」との見解を述べた。
その他、コメディカルの医療行為について、休業補償や保険医年金などの共済制度について、など意見交換を行った。
46人が出席して開かれた相楽医師会との懇談会