相楽医師会と懇談会
2月27日 ホテル日航奈良
新専門医制度に懐疑的な意見が続出
協会は2月27日、相楽医師会との懇談会を開催。地区から45人、協会から10人が出席した。
冒頭のあいさつで、相楽医師会の小澤勝会長は、協会主催の開業医フォーラムに参加した際、新専門医制度ついて大変活発な意見交換が行われていたのが印象的であった。本日の情報提供にも期待したい—などと述べた。協会からは垣田理事長が、相楽医師会から理事を選出いただいていることに謝辞を述べるとともに、診療報酬改定については本体が辛うじてプラスとなったが、政府は社会保障費の伸びを3年間で1兆5千億円以内に抑える方針を示しており、2年後の同時改定ではさらに厳しい内容が出されるのではないかと危惧している—などとあいさつした。
新専門医制度については、現場を混乱させるだけで制度が成り立つのか、ジェネラリストの上に専門医があるはずなのに、専門を細分化することで果たしてよい医療を提供していくことができるのか—など懐疑的な意見が続出。開業医は、例えば糖尿病であれば糖尿病だけを診るのではなく、心臓や血管を含めて患者をトータルで診ることができるのがよいところ—と専門分化による弊害を危惧する意見も出された。また、新制度で耳鼻咽喉科の専門医を更新しようとすると、これまで課されていなかった年間40例の症例報告が義務付けられており、不安が広がっていると報告された。
これに協会は、開業医は地域に病院機能があってこそ安心して仕事ができる。新専門医制度は病院にとっても問題で、大学から医師を送ってもらえなければすなわち病院が存続できなくなることに直結する。耳鼻咽喉科でいえば、40症例といっても日常診療を行っていればクリアできるようだ。ただし、症例報告自体が新設で、負担感があるのは間違いない—と説明した。来年からいよいよ新専門医制度が始まる。19の専門領域のうち何れか一つを持つことが義務付けられ、医師配置の管理に使われるのは明らか。フリーアクセス、出来高払い制度、自由開業制がつぶされようとしている。ここにきて批判が噴出している新専門医制度であるが、今後の医師たちに何を残すかが問われている大切な時期である—と締めくくった。その後の懇親会でも出席者全員から、新専門医制度をはじめ、地域医療に対する思いや協会事業への要望など忌憚のないご意見を頂戴した。