発熱外来「資格証」でも3割負担/新型インフル 京都府、市町村に要請
国民健康保険料の滞納で保険証が使えず窓口段階で全額自己負担となる人たちが、新型インフルエンザを疑う症状があっても受診を控えないよう、京都府は5月21日までに、「窓口3割負担」とすることを府内の各市町村に要請した。
国保料を1年以上滞納すると、保険証を使えなくし資格証明書を発行されることがある。医療機関を受診すると、いったん窓口で医療費の全額を払わなければならず、後に行政窓口で7割の返金を受けることができるものの、受診抑制につながると指摘されている。
新型インフルエンザの国内発生を受けて厚生労働省は、資格証明書を受けた人が発熱外来を受診した場合、窓口負担は3割で済むよう決定している。
府が5月20日に市町村に通知した文書では、▽発症の疑いのある、資格証明書を交付された人が発熱外来を受診した場合、資格証明書を被保険者証とみなす▽この取り扱い方を発熱相談センターに周知する―などを各市町村に求めた。
府内で資格証明書の発行は約4000世帯(08年9月現在)ある。保険医協会は「保険証のない住民は新型インフルエンザの感染拡大
下で不安や恐怖に陥っている」と改善を府に緊急要望していた。小児科診察、午前0時以降も対応/10年度にも京都市急病診療所
京都市内で夜間の小児救急の受診者が多いため、京都市は2010年度にも市急病診療所(中京区)の小児科の診察時間を午前0時以降の深夜帯に拡充する方針を固めた。大規模病院に患者が一極集中している現状を打開し、小児科医の負担を分散させるのが狙いだ。
市急病診療所は急病患者の初期診療を行うことを目的に1978年、中京区聚楽廻松下町に開設された。小児科は土日祝日のみ(午後10時まで)の診察だったが、05年9月から平日を含む午前0時までの準夜診療をスタートさせ、府医師会から派遣された医師2人が当直に当たっている。
市は、急病診療所で小児救急の初期対応を担い、重症の場合は市立病院(中京区)など、大規模病院が担当するという「すみ分け」を図ろうとしている。
しかし、急病診療所の診察時間を準深夜帯まで延長しても、大規模病院への患者の集中傾向は改善されず、市立病院の川勝秀一小児科部長によると、「深夜帯の小児救急は今も、初期診療を受けるべき軽症患者が圧倒的に多い」という。
市立病院の深夜帯の受診者数は05年の1704人をピークに減少し、08年には1225人にまで減ったが、入院患者は1000人前後と横ばい。このため、当直医1人が病棟と外来を担当し、睡眠が取れない日も多いという。
市は、市立病院や京都第一赤十字病院(東山区)など大規模5病院を対象に深夜帯の小児救急の実態調査を始めており、調査結果を踏まえ、急病診療所の診察時間をどこまで延長するかを決める。