療養型老健に重度者が入所、実態調査で判明/
医療サービスの評価見直しへ
厚生労働省は11月28日の社会保障審議会・介護給付費分科会で「療養病床から転換した介護老人保健施設などの実態調査」結果を公表した。療養病床から介護療養型老人保健施設への転換後の入所者は、医療区分1が8割を超える一方、区分3の入所者も少数存在していた。要介護度別に見ても要介護度5が6割を占め、重度者が入所している実態が明らかになった。厚労省は調査結果を受けて、次期介護報酬改定で医薬品費や医療材料費、医師によるサービス提供など医療サービスの評価を見直す方針を示した。
調査は2008年9−10月に、(1)療養型老健、(2)病院から転換した従来型老健、(3)経過型介護療養型医療施設、(4)転換予定の療養病床を持つ医療機関─を対象に実施。療養型老健8施設、従来型老健6施設、転換予定医療機関45施設などが回答した。調査実施時点で全国の療養型老健の施設数は8施設、従来型老健への転換は26施設だった。
療養型老健への転換前後の医療区分別の入所者像を見たところ、転換前は医療区分1が74.9%、区分2が18.8%、区分3が6.4%だった一方、転換後は、区分1が8割を超えた。ただ区分3も1.7%存在した。厚労省は療養型老健は「医療区分1+区分2の3割」の入所を想定していたが、実際には区分3の重度者も入所していた。
また、療養型老健では医薬品・医療材料費が1人1日当たり1337円かかっていた。介護事業経営実態調査結果(08年度) では介護療養型医療施設1344円、従来型老健722円で、療養型老健は介護療養病床に近い医療コストが発生していた。
同日は療養型老健の施設要件の見直しに当たって、療養病床を持つ医療機関を対象に実施した経営環境などの調査結果も公表した。療養型老健は「医療機関からの入所者の割合が家庭からの入所者の割合を35%以上上回ること」を要件としているが、有床診療所や周辺にほかの病院のない地域の医療機関では、医療機関からの入所者と家庭からの入所者の割合にあまり差がないことが分かった。
このほか療養型老健を対象としたアンケートでは、75%が「転換後に医師の負担が軽くなった、または変わらない」とした一方、25%が「転換に伴い医師の負担が大きくなった」と回答した。(12/1MEDIFAXより)