病院・学校の耐震化に550億円/追加経済対策を閣議決定
政府は9月10日、病院の耐震化の国庫補助事業などを盛り込んだ追加経済対策を閣議決定した。デフレ脱却を目指し、国の予備費約9200億円を活用して対応する。また、財源のかからない経済対策として、外国人医師の国内診療の緩和や、訪問看護ステーションの「1人開業」などの規制緩和策も盛り込んだ。
病院や学校の耐震化事業などに550億円を計上した。病院の耐震化は2009年度にも補正予算で1222億円の交付金を計上している。厚労省が10年1月に発表した病院の耐震化率は56.2%。今回、交付金を積み増すことで、より多くの病院が国の耐震基準を満たせるようにする。対象施設は09年度補正予算と同様、未耐震の災害拠点病院と救急救命センター、2次救急医療機関で、既存施設の耐震補強のほか、新築の建て替えも支援の対象とする。国が事業費の2分の1を補助し、残りを県と事業主が負担する。
●外国人医師の緩和「10年度に結論」
規制緩和策では、外国人医師が国内で診療する場合と外国人看護師が国内で看護業務を行う際に設けているビザ発給要件の規制を緩和する。具体的な方策は10年度中に検討し、結論を得る。6月にも同様の規制緩和策を閣議決定しているが、今回は「できる限り11年度中に順次所要の措置を講ずる」との文言を加え、規制緩和の前倒しを強調した。
現在、一定の語学力と臨床経験を持つ外国人医師は、日本の医師免許がなくても、厚生労働大臣の指定する病院で臨床修練指導医の実地の指導監督の下、処方せんの交付を除く医療行為を最大2年間行える。外国人看護師もほぼ同じ条件で最大1年間の看護業務ができる。今後どの条件を緩和するか検討する。
さらにドラックラグ、デバイスラグの解消は、6月の閣議決定では、薬事の承認審査に関する手続きの見直しを10年度中に検討し、結論を得るとしていた。今回は「10年度中に薬事・食品衛生審議会の規程の必要な改正を行う」と踏み込んだ。
このほか内閣府は▽介護施設の総量規制の規制緩和▽有料老人ホームの短期利用の解禁▽再生医療の推進─などを厚労省に求めていたが、閣議決定には盛り込まれなかった。引き続き政府の行政刷新会議の分科会で要求していく。(9/13MEDIFAXより)