産科補償制度、小児科医に「診断協力」要請へ/
医療機能評価機構
通常分娩で出生した脳性麻痺児を対象に2009年1月1日から始まる「産科医療補償制度」で、運営を担う日本医療機能評価機構は、補償対象となるかを診断する小児科医らへの協力依頼に乗り出す。制度の補償対象となる脳性麻痺児を適切に診断するため、日本小児神経学会などを通じて「診断協力医」を募り、委嘱する方針だ。同機構は「厳しい産科の現状を踏まえて創設する制度だが、円滑な運営には小児科医の協力が不可欠」とし協力を求めている。
同制度では、在胎週数33週以上、出生体重2000g以上の重度脳性麻痺児が補償対象となるが、基準を下回る場合でも個別審査によって補償対象となる場合がある。補償対象となった子どもには、一時金と分割金を合わせて3000万円が支払われるが、「高額の補償が発生するため、実際に脳性麻痺を診断する小児科医には大きな重圧がかかる」(同機構) という。
このため、同学会の認定医や、「肢体不自由」の認定にかかわる小児診療を専門分野とする医師をあらかじめ、「協力医」として委嘱。専用の診断項目を設けた診断書を使って補償対象となる可能性があるかを診断してもらう考えだ。同機構は12月26日にも同学会会員1000人程度に、協力を依頼する文書を発送する。
制度の円滑なスタートへ焦点となっていた同制度への加入率は、24日までに98.6% (病院・診療所99.2%、助産所94.8%) に達した。民間保険商品を活用して創設した同制度では、分娩施設を強制加入させることができない。未加入施設で生まれた脳性麻痺児は補償対象とならないため、厚生労働省や同機構は加入率100%を目指し、各施設に呼び掛けていた。
24日現在、全3272施設のうち未加入施設は45施設(病院・診療所23施設、助産所22施設) となっている。また、加入手続きが遅れた25施設は09年1月からの補償開始には間に合わないため、同4月から開始となる。(12/26MEDIFAXより)