産婦人科で選別搬送/市川市、中核病院に重症者
産婦人科医の減少に伴う過酷な現場を和らげようと、千葉県市川市で、妊婦や婦人科の救急患者を市医師会産婦人科医会と提携する診療所で診察し、重症と判断された人を優先して中核病院に転送するトリアージが取り入れられている。
同産婦人科医会、市消防局、中核病院の東京歯科大市川総合病院の三者が7月、連携に合意。厚生労働省などによると、患者を選別して救急搬送するトリアージは外科や内科などの急性期医療で実例はあるが、産婦人科では珍しいという。
同病院産婦人科の高松潔部長は「産婦人科医は体力的、精神的に限界に近い。病院と診療所で患者のすみ分けを進め、救える患者を1人でも増やしたい」と話している。
日本産科婦人科学会で産婦人科医療提供体制検討委員会の委員長を務める海野信也北里大教授によると、2006年の産婦人科医数は1990年から22%減少。病院と診療所を合わせた分娩施設も05年には93年比で1300カ所以上減った。
海野教授は「追い詰められた現場で、立場の違う者同士が協力し合い“トリアージ”という形で地域産婦人科医療に責任を持とうとする姿勢は良いが、行政も適切な支援を行っていくべきだ」と指摘している。【共同】(8/11MEDIFAXより)