生活保護の通院費、「書類不備」など8割超/厚労省調査

生活保護の通院費、「書類不備」など8割超/厚労省調査

 厚生労働省は8月19日、生活保護者が通院する際に利用したタクシー代など「通院移送費」の支給状況に関する調査結果を発表した。調査対象とした1086件のうち、書類上の不備や、支給に当たって検討の記録がない事例が8割を超え、虚偽申請や領収書偽造などの不正支給や不適正支給が疑われるケースも約6%あった。同省は、「悪質な場合は刑事告訴も含めて厳然な対応をとるよう指示する」(社会・援護局保護課) としている。

 調査は、北海道滝川市で起きた不正支払い事件などを受けて通院移送費の運用実態を調べるため実施。2008年1月時点で直近1カ月分の1人当たりの支給総額が月3万円以上の全ケースを対象に、1人当たりの移送費支給額や通院回数、乗車1回当たりの支給額などを調べた。調査対象として報告されたのは1086件だった。

 通院移送費の月額支給額は最高額が81万8160円、平均額5万5388円。平均通院回数は1カ月当たり12.8回で、乗車1回当たりの平均支給額は4032円だった。

 支給に当たっての書類や検討状況をみたところ、問題がなかったのは107件(9.9%) だけ。移送費用の妥当性などの検討記録がなかったり、書類上の不備があった事例は912件(83.9%) に上った。不正や不適正な支給の可能性があるのは67件(6.2%)で、うち41件は虚偽申請やタクシー料金の領収書偽造など不正支給の可能性があった。

 通院移送費については従来、「移送に必要な最小限度の額」と規定する以外に基準がなく、給付範囲などは自治体の判断に任されてきた。厚労省は4月1日付で支給範囲を厳密化した新基準を通知。6月には再度、基準についての解釈通知を出した。新基準は7月から導入されている。(8/20MEDIFAXより)

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