環境問題115
再生可能エネルギーは基幹エネルギー源になりうるか
持続可能な社会を構築するための中心課題の一つはエネルギーであるが、原発が現在も将来においても不適切であることが明らかになり、また化石燃料は地球温暖化問題、そしてなによりも資源の枯渇ゆえ、持続可能なエネルギー源には成りえない。では太陽・月・地球の天体エネルギーに由来する太陽光・風力・水力発電、太陽熱・地熱、バイオマス、海洋エネルギーなどの再生可能エネルギーは、基幹エネルギー源となりうるのであろうか。
まず原発を太陽光・風力・(非ダム式小規模)水力・地熱・バイオマス発電で代替することができるかを、千葉大学・倉阪研究室「再生可能エネルギーによる原発代替えプラン」1)の試算で見ると100%可能であることが示されている。
さらに長期的な見通しに立つ「再生可能エネルギー100%シナリオ」=例えばヨーロッパ再生可能エネルギー協議会EREC「Re-Thinking2050」はヨーロッパの全エネルギー需要を再生可能エネルギーで賄うシナリオを示し、世界自然保護基金WWF「The Energy Report-
100%Renewable Energy by 2050」は世界のエネルギー需要を再生可能エネルギーで賄うことが、技術的にも経済的にも可能であることを示した。
また日本における「再生可能エネルギー100%シナリオ」には、WWF Japan「脱炭素社会に向けたエネルギーシナリオ提案100%自然エネルギー」2)がその可能性を示したほか、環境エネルギー政策研究所長・飯田哲也氏や環境省の報告などがある。
これらの報告はいずれも再生可能エネルギーが日本でも世界でも、基幹エネルギー源になりうるポテンシャルを充分持っていることを示している。
なによりもまずエネルギー浪費を抑え、原発から脱却し、再生可能エネルギーへ転換することが最重要課題であるが、原発依存で突き進んできた日本は再生可能エネルギー開発が世界の中で遙かに遅れ、また電力供給の仕組みなど再生可能エネルギーへのシフトを妨げる問題があるのが現状である(月刊保団連書評「地域主導のエネルギー革命」を併せてお読みいただければ幸いです)。
(政策部会理事・飯田 哲夫)