理事者退任および就任あいさつ
2013年6月より協会新体制が発足した。新理事長に垣田さち子氏、新総務部会副理事長に鈴木由一氏、新政策部会副理事長に渡邉賢治氏が就任。また、それに伴い関浩理事長、増田道彦総務部会副理事長が退任することとなる。以下、それぞれの役員からのあいさつを掲載する。
理事長 退任の辞
関 浩
私が京都消化器医会の推薦を受け協会理事に就任したのは、1997(平成9)年6月でした。当初より保険部会に属し、03年保険部会担当副理事長、07年6月に理事長に選出されました。
任期6年間に限って協会の活動を振り返るとまず、「地域から医療機関が消える」との会員の声を受け、レセオンライン請求義務化の反対運動、次いで後期高齢者医療制度廃止に向けての運動と続き、大きなうねりを見せました。
09年8月9日には協会60周年記念総会が盛大にとり行われ、記念事業の一環として同月末に「社会保障基本法成立を目指す首都圏シンポジウム」を行いました。10年9月、新事務所に移転したのち、一気に活動を進め、11月「新しい福祉国家の姿を展望する―社会保障憲章・基本法の提起を通じて」の東京シンポは大きな反響を呼びました。10年12月京都で開催された「人体の不思議展」でのプラストミック標本を死体と認めさせ、法的倫理的にも許されないと提起し中止に追い込めたことは記憶に新しい運動です。11年3月11日の東日本大震災・東京電力福島第一原発事故発生後、協会は14日には救援募金活動を開始し、5月青森協会を支援する形で東北支援チームを派遣。11年12月、2回目の「真の地域包括ケア実現のためシンポ」を開催しました(3回目は12年5月18日)。
12年5月にはTPP参加が日本医療に与える影響を調査するために、TPPの二国版である米韓FTAが発効したばかりの韓国に視察を行いました。その結果、TPPは米国企業が有利になる基準の押しつけ、また日本の国民医療を破壊するもの―トロイの木馬であると指摘し、11月、TPP参加反対府民集会を開催しました。同年12月成立した社会保障・税一体改革には地域包括ケア構築が盛り込まれ、国の責任を後退させ開業医を後景に押しやるものであります。社会保障制度の確立を求めるには、開業医医療の適切評価と憲法第25条を体現し、国の責任を明確化させるために、京都協会が法制化を進める社会保障基本法制定こそ必要であると主張し続けたいと思います。
協会は総務、政策、保険、経営、医療安全対策部会が効率的に機能し会員の健全な医業経営、権利を守りつつ、日本の社会保障制度、医療制度の発展を目指し、あくまで批判勢力としてその存在価値を発揮すべしと考えます。
最後になりましたが、協会理事、役員、事務局の皆様のご協力、会員の皆様のご支援に感謝申し上げ、退任の辞といたします。
副理事長 退任の辞
総務部会 増田道彦
保険医協会には、1995年保険部会の理事として入り、99年いきなり政策部会の副理事長を担当することになりました。政策部会での一番の思い出は、01年、『高齢者医療と介護の将来像を提言する』をまとめ出版したことです。改革案だけでなく、財源論も提示した画期的シミュレーション提言と自負しています。05年から総務担当になり、最初にしたことは、医師会館でしていた定期総会を、「記念講演会」と「懇親会」をくっつけてホテルで開催するスタイルに変えたことです。講演会、懇親会には、会員は勿論、家族従業員にも多数出席いただき、協会の年間最大の行事となっています。また、会員に癒しの場を提供しようと文化活動にも力を入れました。文化講座では、歴史のほかに、宗教、仏教、キリスト教、イスラム教について、哲学はギリシャ哲学から、近代哲学、現代哲学まで入門編の講義を聞きました。ライブスポットを借り切ってのジャズライブや京響サロンコンサートも定着しています。文化ハイキングやワイン講座、ランニング教室などを入れると毎月何かやっている感じです。副理事長は少し長すぎたかもしれませんが、今後は監事として少しでも役に立てればと思っています。
副理事長就任のあいさつ
総務部会 鈴木由一
1993年に初めて理事に就任して以来6年間総務部会、その後6年間は経営部会担当副理事長、そしてその後8年間監事で、この度総務部会担当副理事長をすることになりました。
もうお役御免かと思っておりましたところ、垣田新理事長の要請でお断りしきれず、お引き受けすることになりました。今年で21年目ですので、新人ですからとか、慣れませんのでとか言い訳もできません。
会員、保険医協会のために前任の増田副理事長の築いてこられたことを踏襲しつつまた新たな企画を考えて、がんばろうと思っております。会員の先生方のご意見やご要望も参考にさせていただこうと考えております。多くの先生方、ご家族の皆様に参加いただけるようなイベントも考えてまいります。どうぞこれから2年間よろしくお願いいたします。
副理事長就任のあいさつ
政策部会 渡邉賢治
私が5歳の頃に父が書き綴った日記に次のような文章がありました。
「賢は、一応勉強は頑張っているようだ。問題は将来、正義漢になっているかどうか。何が正しい、何が誤りか。その判断をする基準を何に求めるか。これを正しく身に付けて欲しい。正しく生き抜くことの難しさを感じながら、自分自身をきたえ、深めていく人間になって欲しい。そのことが身についた学問を生きた学問にすることであるのだから。しっかりやれ。賢!!」。副理事長の就任にあたり、この文章が思い起こされてきました。
今、医療・介護の問題だけでなく、反核・平和、原発、TPP、そして憲法改正などさまざまな問題がしっかりした議論なく、おかしな方向に進められようとしています。私たち国民も、「なんとなく」の雰囲気で流されているように思います。過去で起きたことを検証し、今を認識し、それをもとに未来を展望する。このことを皆でしっかり考えていけば、おのずと私たちがしなければならないことが明確になってくると思います。
今まで政策部会で進められていたことをさらに発展させていきたいと思います。そのためには、皆さんの意見、力、支えが必要です。今後ともよろしくお願いいたします。