理事提言/国民にもっと真実を!  PDF

理事提言/国民にもっと真実を!

保険部会 草田英嗣

 2011年3月の東日本大震災とそれに伴う福島第一原発事故から2年8カ月が経過しました。福島では復興は進んでいないばかりか、今でも多量の放射性物質が放出されています。事故後より、東電や国は状況や実態を隠すことばかりに走り、高名な御用学者たちは安全性を唱え、国民を欺いてきました。時間経過とともに、隠されてきた事実が少しずつ表に出てきていますが、国民やマスコミに漏れた内容については、まるで他人事のように認めています。

 避難生活を強いられている人達が、まだ15万人近くもいます。国や県は避難者を帰還させる方針を進めていますが、事故の検証もされず、安全かどうかは全くわかりません。まだまだ多くの事実が隠されたままになっているのではないでしょうか。1986年のチェルノブイリ原発4号炉の事故後も、多くの情報が隠匿され、結果的に多くの被害者を出していることが分かってきました。甲状腺がんをはじめ、血液、リンパ、心臓、肺などの疾患、親の被曝後の先天異常を持つ子ども達…。

 同じことが日本でも起こりつつあるのではないかと危惧しています。大量の鼻血や貧血、免疫機能の低下、甲状腺がんなどの発症が報告されるようになってきました。しかし、「甲状腺がんの多発は原発事故の影響ではない」という「前倒しスクリーニング効果」を唱える学者達もいます。被曝者たちの医療情報もほとんど表面に出ることなく、他の自治体で受ける検査にも、抑制的に働いていると耳にしています。今も高濃度の放射能汚染水がもれ、結局は海に垂れ流されているのが現状です。

 事故現場のひどい環境の中で、命をかけて対応に追われている人達はもう限界にきています。東電や国はもっと真実を国民に伝えるべきだと考えます。事実を知らされないまま、戻れるかもしれない期待だけを持たせるのは、あまりに酷だと考えます。東電任せにせず、国が前に出て真実を国民に伝え、情報を共有して対応していくのが大切だと考えます。それによりもっと開かれた検診と、医療保障、生活保障が可能になっていくのではないでしょうか。

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