理事提言/レセプト・オンライン化は国民全体の問題として運動を

理事提言/レセプト・オンライン化は国民全体の問題として運動を

保険部会 柴田修宏
保険部会 柴田修宏

 一時期ほど話題になっていないが、レセプト・オンライン化の流れは着実に進んでおり、すでに400床以上の病院では今年度から義務化がスタートしている。経過措置を受けることができる一部の医療機関を除き、診療所においても原則2011年度からオンライン請求が義務化される。様々な問題を残したままこの流れが進んでいることに怒りにも似た思いを抑えきれないでいるのは私だけではないはずである。

 そもそもオンライン化は「医療費の抑制」「保険者機能の強化」「管理医療」「営利会社の医療分野への参入」等への取り組みの突破口として進められている。レセプト情報の中央集約化の利点が強調されているが、それに伴う負の要素を見逃すことはできない。具体的には、疾患別包括払いへの移行とそれによる医療費の抑制、保険者側の効率化の結果として患者毎の縦覧点検・重複受診点検が行われる可能性、民間の医療保険会社が保険料率設定を行う際に必要なリスク分析への利用等が予想される。

 国は「レセプト・オンライン化の推進」のために26億円の予算を計上しているが、日本医師会の見解では、この予算は国や保険者、審査支払機関側の体制整備の費用のみと推察され、医療現場の体制整備についてはまったく考慮されていない、とされている。レセプト手書き医療機関への支援はもちろん、すでにレセコンを利用している医療機関においてもオンライン化への移行支援に関する予算は全く含まれていない。医療機関への負担を強いる制度であることが問題なのはもちろん、「全ての医療機関に強制」という点に最も重大な問題がある。

 さらなる問題は、このオンライン化がもたらす弊害が、医療を受ける側の一般の人達に全くと言っていいほど知らされていないことである。収集された情報の不正利用、患者の病歴・治療歴等を含む個人情報の悪用等の危険性については何の記載も見られない。

 では、残された短い期間で我々に何ができるのだろうか? 医療関係者への影響だけを声高に叫んでも決してその声は届かないだろう。やはり、医療を受ける側の一般国民が受けるであろう弊害について広くアナウンスすることが必要ではないだろうか。

【京都保険医新聞第2657号_2008年9月22日_6面】

 

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