理事提言/「在宅医療」への誘導にもう限界の声も

理事提言/「在宅医療」への誘導にもう限界の声も

政策部会 津田光夫
政策部会 津田光夫

 協会がこの間行ってきた在宅医療に携わる会員へのアンケート結果がまとまりつつある。06年の医療制度改革関連法に基づいて京都府が示した「医療費適正化計画」について、会員の意識を調査したものである。国の計画自体が慢性疾患患者と長期入院の是正をターゲットにしてきた経緯があり、京都府でもこの流れの上に8月、「京都府中期的な医療費の推移に関する見通し」を示したのである。

 アンケート結果は11月28日にマスコミ発表されたが、自由意見を読みながら、あらためて会員たちの血のにじむような努力で支えられている、在宅・終末期医療や介護の現実に驚嘆し、頭が下がる。家族に介護力がない家庭、病院入院中と同じ医療水準を求める家族、常勤医師一人が圧倒的に多い診療所開業医に24時間365日を強いられる矛盾など、現場で必死に支えようとする意思と体力の狭間で苦悩する会員の声が生々しい。

 おりから「社会保障国民会議」は11月4日最終報告を提出した。社会保障の「機能強化」への政策転換をうたっており、その中の「医療・介護サービスのあるべき姿」の中では、「現在の医療・介護とは格段に異なる質の高いサービスが効率的に提供できる」としている。そこで持ち出されてきているのが、平均在院日数の大幅な短縮、医療の集約化と機能分化、在宅医療の拡大と、相変わらずの方策の羅列で実現性に疑問が残るばかりか、2015年の消費税3%以上の引き上げを前提の話であり看過できない。

 先の会員アンケートでは、医療費削減ありきの計画自体への反対が80%に達しており、早期の退院や「在宅化」にも65%が反対、としている。すでに熱心に在宅医療へ取り組んでいる会員からも、「掛け声だけで裏づけのない、これ以上の在宅推進に対しては、現在受け持っている患者さんに対する責任からも、提供側としても躊躇せざるを得ない」とある。医療費削減のために闇雲に「在宅への流れ」を強要するのではなく、「在宅も、病院・施設も」選択可能な社会をこそ準備すべきではないだろうか。

【京都保険医新聞第2669号_2008年12月15日_8面】

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