理事提言/「グリーンペーパー」を読んでいますか?

理事提言/「グリーンペーパー」を読んでいますか?

保険部会理事 長谷川 功
保険部会理事 長谷川 功

 会員の皆様は当協会が毎月月末に発行している「グリーンペーパー」をお読みでしょうか。これは最新の医療保険審査情報の提供を目的としていますが、毎号その巻頭に「審査なんでも相談」を掲載しています。皆様から寄せられる減点審査、保険請求に関わる疑問にお答えするものです。この内容は、当会保険部会理事者と専門医会からの審査委員十数名で構成される「保険審査通信検討委員会」で検討されたもので、相談者には委員会での意見、結論を個別に返答し、その中で会員に参考になるであろうと思われる事例を選択して掲載しています。

 私は今年度からこの委員会のメンバーとなり、半年近くが経過しました。毎月数件から十数件の相談が寄せられますが、相談内容をみていると、非常に初歩的なことを見逃して誤った請求をしている例から、委員全員の知恵をしぼっても査定の理由がどうしてもわからない例まで様々です。私自身、毎回勉強をさせてもらっているのが正直なところです。

 07年4月から08年9月までの約1年半の間に委員会に寄せられた相談件数は109件、その中で委員会での結論にそって再審査請求及び再提出をされた26件中17件が復活しています。その「復活率」は65%とかなり高率です。また、総相談件数の8割近くは診療所からですが、残りの2割は病院から寄せられています。ベテランの事務員や複数の専門医のいるはずの病院からも相談が寄せられていることは、委員会に対する信頼度の高さを表していると考えています。

 自分自身、査定されてその理由に納得いかなくても、損失が微小であれば手続きの煩雑さを嫌って再審査請求まで行わないこともかつてありました。しかし、わからないまま放置すると、次回からその診療行為を避けるようになり、その結果「医療の萎縮」につながる可能性があります。われわれ保険医は、保険診療上必要と認めた医療行為について納得できない減点があった場合、例え少額であろうとぜひ再審査請求を行っていくべきです。これが最終的には国民医療を守ることにつながるのではないでしょうか。審査結果に納得いかない事例があればぜひ私たちにご相談下さい。どうしてそのレセプトが減点されなければならないのかをともに考えましょう。そしてそのことがみなさんの保険医としての技量を高める一助になれば、私たちにとってはこの上ない喜びです。

【京都保険医新聞第2664号_2008年11月10日_4面】

 

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