特定高齢者施策の導入で費用対効果/介護予防継続評価事業  PDF

特定高齢者施策の導入で費用対効果/介護予防継続評価事業

 厚生労働省の「介護予防継続的評価分析等検討会」は3月26日、介護予防関連事業の効果などを検証する「継続的評価分析支援事業」での特定高齢者施策の費用対効果分析について報告した。特定高齢者施策の結果、導入後に約2000万円の費用が減少することが分かった。

 厚労省は同事業の結果を基に「介護予防の有効性などの評価」の取りまとめ案を提示。特定高齢者施策と新予防給付はともに介護予防効果が見られ、高い費用対効果が上がっているとした。2009年度からは高い効果が見込まれる介護予防事業のモデル事業を行い、引き続き効果の検証を行っていく予定だ。

 同事業の分析結果を受け、大久保一郎委員(筑波大大学院教授)は「新予防給付と特定高齢者施策の導入で約1880億円ほどの費用の節約になる」と述べ、介護保険にかかる費用総額の3%弱が削減される見込みを示した。

 同事業では06年度から全国83市町村に対し、新予防給付と特定高齢者施策について介護予防効果と費用対効果を調べた。特定高齢者施策の費用対効果は、サービスを受けている特定高齢者1000人を対象に施策導入前(05年4月−06年3月)と導入後(07年1月−12月)のレセプトデータなどから分析。施策導入前の費用4108万6000円に対し、導入後は2116万2000円で、施策導入により1992万4000円の費用が減少するとした。1人当たりで換算すると、年約2万円の費用削減になる。

 高齢者1人当たりの費用単価が変化した影響か、介護予防効果によるものかを分析するため、施策導入前後で費用単価が変わらなかったと仮定した調査も実施。この場合も導入後に1903万円減少し、費用対効果が見られた。

 新予防給付と特定高齢者施策の介護予防効果はすでに報告されており、新予防給付は統計上有意な効果が、特定高齢者施策は有意ではないが一定の効果が見られた。新予防給付の費用対効果についても費用減少を確認した。

 同日は属性やサービス別の介護予防効果分析も報告。運動器機能や口腔機能の向上サービスを受けている人は日常生活自立度が改善しやすく、認知症予防につながることなどが分かった。(3/27MEDIFAXより)

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