特定秘密保護法に意見 「適性評価」は医の倫理に反する
特定秘密保護法の運用基準案について8月22日、協会の意見を送付した。意見は、協会が同法の廃案を求めてきたことを述べた上で、特に医療者にとって看過できない「適性評価」について行うべきでないとした。
同法は、特定秘密を取り扱う者に適性評価を受けることを定め、その項目に「薬物の濫用及び影響に関する事項」「精神疾患に関する事項」を定めている。この調査のために、医療機関に照会して精神疾患等の具体的な症状を求めることがあるとしている。国会答弁でも、医療機関に回答義務があるとされ、患者のプライバシー侵害や医師の守秘義務規定の面から問題とされたが、そのまま成立が強行されている。
法文には医療機関の回答義務が明記されておらず、医師の守秘義務違反の免責についても記されていない。義務があるからと回答すると、守秘義務違反に問われかねない。適性評価の実施は本人同意が前提とされ、医療機関等への照会についても同意書をとることが運営基準案には記されているが、それをもって患者の人権を脅かすおそれや患者と医療者の信頼関係を壊す懸念を払拭できるとはいいかねる。
協会代議員アンケートでも、「回答義務」について49%が「患者と医療者の信頼関係を壊す」ことを懸念し、46%が「患者の基本的人権を優先すべき」とし、同法について83%が「このまま施行すべきではない」としている。この結果も踏まえ、医の倫理を尊重し、国家の要請よりも患者の人権を最優先する医師の団体として、このような適性評価の運用は行うべきではないと訴えた。