特定看護師は必要ない/日医・独自調査を公表  PDF

特定看護師は必要ない/日医・独自調査を公表

 日本医師会は10月29日、独自に実施した看護業務の実態調査「看護職員が行う医行為の範囲に関する調査」を公表した。調査結果は、医師の指示に基づき「診療の補助」として一般看護師が現在でもさまざまな医行為を実施していると指摘。特定看護師(仮称)を創設すれば一般看護師の業務が縮小するとし「創設は必要ない」との結論をまとめた。藤川謙二委員(日本医師会常任理事)が厚生労働省のチーム医療推進会議(座長=永井良三・東京大大学院医学研究科教授)で示した。

 調査対象は、都道府県医師会役員ら10人とその役員の医療機関に勤務する看護職員10人(47医師会×20人)、郡市区医師会役員ら5人とその役員の医療機関に勤務する看護職員5人(818医師会×10人)の合わせて9120人。回答を得たのは7031人(回答率77%)で、医師が3525人、看護職員(看護師、准看護師、未回答含む)は3506人だった。回答者のほぼ半数が病院勤務(医師1868人、看護職員1888人)で、病床規模は199床以下が約6割を占めた。また、「200床台」「300床台」「400床台」「500床以上」の回答者の比率と、全国の病床規模割合の誤差が2%以内だったことから「日医の調査は全国の医療機関(種別、病院の病床規模)を平均的に抽出した結果」と分析。回答者の約6割が「500床以上」だった前原正明・防衛医科大教授の研究班による調査との違いを強調した。

 調査は研究班が実施した調査項目に対応する形で、203の医行為について実態を聞いた。「現在、看護職員が実施しているか」を問う調査では「実施している」との回答が30%を超える医行為は医師の回答で29項目、看護職員の回答で49項目あった。うち「導尿・留置カテーテルの挿入の実施」を挙げたのは医師で77.7%、看護職員で88.1%と、研究班の調査と同様、トップだった。一方、「手術時の臓器や手術器械の把持および保持(気管切開等の小手術助手)」「同(手術の第1・第2助手)」については「実施している」との回答が研究班の調査と比べて30%以上高いなど、回答者層の違いが結果に表れたとみられる項目もあった。

 また、203の医行為のうち「今後、看護職員(看護職員・一般、特定看護師)による実施が可能」との回答が「医師が実施すべき」との回答より高かった医行為は、医師の回答で39項目、看護職員の回答で38項目だった。これらの項目のすべてで「看護職員(一般)が実施可能」とした回答が「特定看護師が実施可能」とする回答を上回っており、看護職員が実施可能と医療現場で考えられている医行為は、特定看護師ではなく一般看護師でも対応できるとの結果になった。調査結果はWGで資料として活用する。(11/1MEDIFAXより)

ページの先頭へ