特定看護師の業務・行為を例示/厚労省がたたき台  PDF

特定看護師の業務・行為を例示/厚労省がたたき台

 厚生労働省は4月27日、「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」(WG、座長=有賀徹・昭和大医学部救急医学講座教授)に、「特定看護師(仮称)によって実施されるべき業務・行為」の例を示した。今後の議論のたたき台として示したもので、特定看護師業務試行事業の進捗状況などを参考に検討を進める。

 例示した業務・行為は「看護師が行う医行為の範囲に関する研究班」(主任研究者=前原正明・防衛医科大教授、WG委員)の看護業務実態調査で、看護師がすでに行っている割合が10%以下だったものや、特定看護師養成調査試行事業の実施先の取り組みを参考に抽出した。

 急性期で行うものとしては▽抗不整脈剤の投与▽一時的ペースメーカーの操作・管理▽経口・経鼻挿管チューブの挿管・抜管▽胸腔ドレーンの抜去▽麻酔薬の投与など。慢性期・在宅は▽胃ろう・腸ろうのチューブ・ボタンの交換▽嚥下内視鏡検査の実施▽創傷の陰圧閉鎖療法の実施▽褥瘡の壊死組織のデブリードマン▽副腎皮質ステロイドの投与(局所注射)─などを示した。

 一般の看護師が実施可能な業務・行為も示した。医療現場などでトレーニングを積むことで実施するのが望ましいものには、研究班調査で医師が「今後、看護師が実施可能」と答えた割合がおおよそ70−80%だったものを抽出し▽心停止患者への電気的除細動の実施▽創傷被覆材(ドレッシング材)の選択・使用▽酸素投与の開始・中止・投与量の調整の判断─などを挙げた。

 今後、通知で対応が可能と想定される業務・行為は、医師の回答で「今後、看護師が実施可能」と答えた割合が80%以上だったものから選び▽12誘導心電図検査の実施▽低血糖時のブドウ糖投与(経口または静脈内投与)▽動脈ラインからの採血─などとした。

 今回示した業務や行為は例の一部で、それぞれの振り分けは今後の議論によって柔軟に変更する見通し。

●「認定」「専門」の業務実態を把握へ/厚労省
 今後の特定看護師が担う業務・行為の検討に併せ、複数の委員から、専門看護師と認定看護師の位置付けを議論するよう求める意見が出た。事務局の厚労省医政局看護課はそれぞれの資格を持つ看護師が現場で実践している業務・行為の把握に取り組むとした。

 星北斗委員(財団法人星総合病院理事長)は「認定看護師らが特定の医行為の一部を行っているかもしれない。(認定看護師らが)特定の医行為に対してどのような役割を担っているのかを理解すべき」と提案。井上智子委員(東京医科歯科大大学院教授)も厚労省が例示した特定看護師が担うと想定される業務・行為について「専門看護師が行為のかなりの部分をやっているはずだ」と指摘した。(4/28MEDIFAXより)

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