特定疾患療養管理料 他院退院1カ月以内が算定可に  PDF

特定疾患療養管理料 他院退院1カ月以内が算定可に

会員実態調査・署名運動が実る

 3月4日、厚生労働省は2016年度診療報酬改定について、告示・通知した。

 この中で「退院後1カ月以内の特定疾患療養管理料の算定制限」は、入院していた医療機関に限られる扱いが明記された。これは、かねてから会員の強い改善要求を受け、厚労省と粘り強く交渉してきた結果であり、運動の成果である。

 協会は14年12月、内科系の標榜科目がある診療所管理者の会員1230人に対して特定疾患療養管理料に関するアンケートを実施(回答者数369人、回収率30%)。「算定制限を廃止すべき」50%、「自院の入院に限るべき」31%との回答を受け、15年3月17日、厚労省への改善要請行動を行った。

 全国保険医団体連合会に対しても、この重要性を強く訴えた。保団連からの要請を受けて34都県の協会がアンケートに協力・実施し、5081人の回答を得た。ここでも、「算定制限を廃止すべき」45%、「自院の入院に限るべき」40%との結果となり、保団連も9月16日、厚労省交渉を実施し、改めて改善を訴えた。

 結果、昨年3月段階では「初めていただいた意見だ」と回答していた厚労省もこの問題に理解を示し、今回の改善に至った。

複数医療機関での自己注射の算定も改善

 また協会は昨年9月、全会員に16年度改定に関する要請署名運動を提起。11月17日、集まった要請書264筆を携え、再度厚労省への改善要請行動を行った。その結果、ここで掲げた要請項目とあわせて、複数の医療機関で異なった疾患に対して在宅自己注射指導管理を行っている場合にいずれの医療機関でも、在宅自己注射指導管理料を算定できるようになったなど3項目の改善が実現した。さらに、在宅自己注射の導入にあたって「週2回以上の教育期間をとる」とされていたが、今回の改定で「週」が削除され、現場の声を反映した算定要件に改善された。

 また京都府の理学療法士会、作業療法士会、言語聴覚士会と協会の4者でまとめた「リハビリテーション点数に関する共同要望書」中、要介護者の外来維持期リハビリの算定打ち切りが2年間延期された。廃用症候群のリハビリ対象と摂食機能療法の対象患者の拡大も実現した。

 要請項目以外に口頭で交渉をした「入院中の患者の他医療機関受診の取扱い」減算率の緩和についても改善された。

 今回の改善は、会員の要求、現場の切実な意見を、アンケート結果と会員署名という形で集約し、これを厚労省に提出するとともに、懇談して説明、改善を要請するという一連の運動の成果である。会員各位に感謝するとともに、今後とも協会が実施する診療報酬改善要求運動にご理解、ご協力をいただきたい。

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