特区の工業地域で病院建設可能に/総合特区法が成立
特定地域に対して規制の特例を設けるだけでなく、税制・財政・金融上の支援措置などを加えた規制・制度改革を図る総合特別区域法案が6月22日、参院本会議で共産、社民両党を除く賛成多数で可決、成立した。近く公布され、8月ごろ施行される見通し。特区に関する募集は8月以降になりそうだ。特区には「国際戦略総合特区」と「地域活性化総合特区」があり、いずれの特区でも工業地域に病院を建てることが可能になる。地域活性化特区では、特別養護老人ホームの数が不足している場合、PFI(民間資金を活用した公共施設等の整備)方式で民間事業者が特養を設置できるようになる。
総合特区は従来の構造改革特区よりも強力な規制・制度改革で地域活性化や国内成長を目指す仕組み。特区内での特例は、特区地域と国による個別の協議会での議論を土台に、国が法令などの改正を検討するのが基本だが、総合特区法自体に特区に対する10の特例が盛り込まれている。建築基準法の特例も含まれており、例えば工業地域で用途地域を変更せずに病院、学校、ホテルなどを建てることが可能になる。
地域活性化特区では、特養の経営主体を市町村や社会福祉法人などに制限している老人福祉法を緩和する。都道府県老人福祉計画で定める特養の必要入所定員総数を下回る地域では、PFI法に基づく民間事業者が特養を建てたり運営したりすることができる。
特区内では、政令・省令の規制について特例を設けることが可能だ。特区を持つ自治体は条例を制定することで、政省令の規制に対して特例を設けられる。また、内閣府と担当の省が共同省令をつくる形で、省令の規制を緩和できる仕組みだ。
●参院内閣委、「良質な介護」求める付帯決議
参院本会議に先立ち、6月21日に開かれた参院内閣委員会は総合特区法案を全会一致で可決した。PFI方式による特養設置について「利用者保護の観点に立ち、継続して良質な介護サービスが提供されるよう万全を期すこと」を政府に求めた付帯決議も全会一致で可決した。(6/23MEDIFAXより)