無償診療の被災医師に月額30万円/日医、義援金を活用  PDF

無償診療の被災医師に月額30万円/日医、義援金を活用

 日本医師会は東日本大震災で被災して住居や勤務先を失い、避難所などで無償で診療している医師を対象に、義援金を送る支援策を始めた。会員、非会員を問わず、申請のあった医師に対して、県医師会を通じて月額30万円を送る。復興に向けて、地域からの医師離れ防止と医師の診療意欲を保つのが狙い。日医の今村聡常任理事は「地域が復興しても医療機関はなくなった、ということにならないように、医師が地域に残ってもらえる手助けとなれば」と話している。

 岩手、宮城、福島の各県内の医師が対象。日医に全国から集まった義援金を3県医に振り込み、現金で支給する。働く意欲を保つため「見舞金」ではなく、診療への対価という意味合いで支払う。各県医には3−5月分としてそれぞれ1500万円を原資として拠出した。原則として会員は所属の県医に申請し、非会員は診療を行った避難所などがある県医に申請する。申請書には氏名、勤務先のほか、診療を行った避難所などの名称や医籍番号を記入する。

 実際の診療実績の把握・確認は難しいため、活動日数や詳細な活動内容は問わないこととした。申請は1カ月単位とし、3月分は5月末日まで申請を受け付ける。医療機関への診療報酬の支払いは約2カ月後となるため、震災前の診療報酬が支払われた以降に現金収入がなくなることを想定して対策を急いだ。今村常任理事は「金額は十分ではないと思うが、速さを重視した」としている。支払いの終了時期については「国の支援がどうなるか分からない。現地に行って話を聞いて継続していくかどうか考えたい」と述べた。

 日医には4月20日現在で、義援金として3億円以上が集まっている。

●診療所建設・医療機器整備にも補助必要
 次の段階の支援策について今村常任理事は、診療所を中心に建設への補助や医療機器整備への補助が必要との見方を示し、義援金の使い道として検討していくとした。「診療所ができて復活してくれば機器の補助が必要になってくる。段階的に考えていきたい」としている。

 診療所の医師は医療機器をリースで使用している場合や、購入した場合でも減価償却ができていないケースもある。建物についても同様で、支払いが大きな負担になる。今村常任理事は、被災地では診療所が地域医療の核になっていた地域もあるとし「自力で立ち上がることができない民間診療所を支援することが必要だ」と述べた。(5/9MEDIFAXより)

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