災害長期化、厚労行政にも影響/検討会は大半が中止・延期  PDF

災害長期化、厚労行政にも影響/検討会は大半が中止・延期

 被害の甚大さから復興の長期化が見込まれる東日本大震災の影響は、国の医療・介護、社会保障政策の決定にも及びそうだ。本震が発生した3月11日以降、厚生労働省などで予定されていた審議会・検討会などは大半が中止・延期となった。厚労省は、政府の社会保障・税一体改革に向けた社会保障の将来像の厚労省案取りまとめを4月に控えている。3月下旬には中医協総会や各種分科会も予定していたが、分科会については中止が決まった。

 社会保障の将来像に関する厚労省案の取りまとめについて、厚労省保険局総務課の武田俊彦課長は「現段階では具体的な指示を受けていない。分からないとしか言いようがない」とした上で、「国会・政府とも災害対策を最優先にしなければならない。一方で、税制改革に向けた議論は間に合わせなければならないだろう」と述べた。

 中医協関連では、3月24日に医療機関のコスト調査分科会と慢性期入院医療の包括評価調査分科会が予定されていたが、中止を決定。3月下旬に中医協総会を開催する予定となっているが、事務局の厚労省保険局医療課の鈴木康裕課長は「急がなければならない内容と少し時間を置いても大丈夫なものとをより分けた上で、災害対応に追われている事務局のキャパシティーや委員の都合なども含め総合的に検討している」と述べた。

 2012年度介護報酬改定に向けた社会保障審議会・介護給付費分科会は3月16日の開催を中止した。厚労省老健局老人保健課の宇都宮啓課長は「今は災害対策を最優先し全面的に協力する。議論の再開は状況が落ち着き次第、調整していく。限られた時間の中で最善を尽くす」と述べた。

 3月16日に予定していたチーム医療推進方策検討ワーキンググループ(WG)も開催を中止。3月30日に予定している親会議のチーム医療推進会議の開催も揺れている。11年度から新たに始まる予定の「チーム医療実証事業」は、WGが年度内を目標に策定する「チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集(案)」を参考に行われる予定だが、策定時期がずれ込むのは確定的。医政局医事課は「10年度末までの策定が義務付けられているわけではない」とし、柔軟に対応する構えだ。(3/16MEDIFAXより)

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