災害医療コーディネーター創設を了承/災害医療検討会  PDF

災害医療コーディネーター創設を了承/災害医療検討会

 厚生労働省「災害医療等のあり方に関する検討会」(座長=大友康裕・東京医科歯科大救急災害医学分野教授)は7月27日、事務局が提案した専属事務要員による「ロジスティックチーム(仮称)」創設や、保健所単位での「災害医療コーディネーター(仮称)」創設などについて大筋了承した。この日の議論を踏まえ、日本DMAT活動要領や災害時の初期救急医療体制に向けた通知の見直しなどを行う。

 事務局の医政局指導課は、被災地での▽DMAT(災害派遣医療チーム)の医療活動▽中長期の医療提供体制▽ドクターヘリ─について東日本大震災での状況を説明した上で、制度見直しに向けた論点を示した。

 DMATについては、災害急性期での対象患者は重症者(トリアージ赤)にこだわらず、臨機応変に活動できるようDMAT研修内容や活動要領を見直すことを提案。検討会で了承された。DMATの活動時間はこれまで「出発から48時間」を想定してきたが、災害規模にかかわらず「現地での活動時間は48時間」を原則とする方向を示した。1次派遣のチームが携行できる資器材は限られるためで、医療へのニーズが長く続く場合には2次隊の派遣で対応する考えだ。今回の震災を踏まえて、DMATが衛星電話・衛星携帯などの複数の通信手段を持つことへの提案に対しても反対はなかった。

 DMATの活動支援についての提案では、厚労省DMAT事務局とDMAT都道府県調整本部に多くの統括DMAT登録者(厚労省に登録する統括DMAT研修終了者)やDMAT隊員を派遣して調整機能を強化することや、調整本部や活動拠点本部での業務や病院支援・情報収集のために事務要員による専属チーム「ロジスティックチーム(仮称)」を創設することなどを了承した。

 また、災害時には保健所が、広域災害救急医療情報システム「EMIS」未登録病院の情報を収集する役割を担うべきとの意見でも一致した。

 広域医療搬送の論点では、平時に患者搬送・患者受け入れ計画を策定しておくことや、災害拠点病院の敷地内にヘリポートを設置することなどを示した。反対意見はなかった。

●長期化する医療支援に対応
 今回の震災では中長期にわたる医療ニーズがあり、医療チームの派遣調整体制の必要性を問う声が多かった。事務局はDMATの活動を引き継ぐ移行期(発災48時間から約5日間)と中長期の医療提供体制について、都道府県医師会や災害拠点病院、大学病院、日赤、国立病院機構などからなる「災害医療本部」を都道府県災害対策本部内に設置し、JMAT(日本医師会災害医療チーム)など医療チームの調整役とすることを提案した。さらに、地域ニーズに合った医療チームを派遣するため、保健所管轄区域に「災害医療コーディネーター(仮称)」やコーディネート機能を持つ組織を設置する考えも示した。派遣調整について検討会では保健所や郡市医師会、医療機関などのチームで調整すべきとの意見が出た。(7/28MEDIFAXより)

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