潜在看護職員の7割が復職希望/日医が再就業意識調査
日本医師会の羽生田俊常任理事は1月14日の定例会見で、潜在看護職員の再就業についての意識調査の結果を発表した。資格を持ちながら看護分野で働いていない「潜在看護職員」の約7割が看護職への復職希望を持っていることが分かった。離職理由では妊娠・出産や子育てが上位を占めた。羽生田常任理事は「潜在看護職員の復職には育児と仕事の両立が課題」と述べ、今後、多様な勤務形態の導入や、再就業に当たっての研修の充実を図る考えを示した。
調査は、日医の「潜在看護職員再就業支援モデル事業」に参加している15県医師会により実施。2008年4月1日現在の就業状況などを聞いた。潜在看護職員の把握が困難なことを踏まえ、医師会立の看護師等学校養成所の卒業生を対象に行い、1367人から有効回答を得た(有効回答率49.6%)。日医が潜在看護職員を対象に調査を行ったのは今回が初めて。
回答者は96.3%が女性で30代が最も多かった。全体の82.6%が既婚者だった。看護職員としての離職期間は平均5年5カ月で、離職理由は「妊娠・出産」が43.9%で最も多く、「子育て・家事」の24.1%、「結婚」の23.2%が続いた。他業種も含め、現在就業していない人は78.0%だった。
看護職員への復職希望については、「再就業したい」(27.1%) と「条件次第で再就業したい」(43.0%) を合わせて70.1%が復職を希望していた。再就業に当たって希望する職場は診療所が87.5%、病院が70.8%で、9割以上が「通勤時間30分以内」を希望した。
再就業時に希望する雇用形態については、「常勤(正職員)」が32.0%だったのに対し、非常勤やパートなど「短時間勤務」は65.5%に上った。
また、80.7%が再就業に当たっての研修の受講を望んでおり、希望する研修内容(複数回答)は看護技術(実技研修)が73.8%、電子カルテなどIT関連知識が54.5%、医療安全が54.4%などだった。
不満に感じる理由については「国全体の医療費抑制政策」が86.9%と最も高く、「医師の体制」が66.勢%、 「国民の医療費負担」が41.8%などが続いた。
また、60.6%の医師が「患者から訴訟を起こされるのではないかとの懸念が強くなった」と回答し、56.1%が「訴訟への不安から防衛医療を行う傾向が高まった」と答えるなど、医療訴訟への警戒感が高まっている実態も示されている。(2/6MEDIFAXより)