済生会病院の08年度決算、赤字決算の病院拡大か
病院の経営環境の厳しさが増す中で、社会福祉法人恩賜財団済生会は、2008年度の黒字決算病院が例年実績を大きく下回り、1ケタにとどまる見通しであることが明らかになった。07年度決算では、82病院のうち38病院(46.3%)が黒字決算だったが、08年度決算では累積赤字も増えていることが予測されている。
済生会本部の松原了常任理事はメディファクスの取材に対し、済生会病院グループの最近5年間の経営動向について「5年前の03年度は、79病院のうち55病院(69.6%)が黒字決算だったが、年々減少傾向が続いている。済生会本部としても経営改善に向けた戦略を継続的に検討している」と話した。
近年の病院経営が厳しい要因としては、外来・入院患者数の減少傾向が大きいと指摘。そもそも外来診療については、地域医療機関との連携を重視して紹介制を採用している施設が多く、外来患者総数の減少傾向は予測はされていた。しかし、全施設の傾向として初診外来患者が増加せず、新規入院患者数の減少傾向に歯止めがかからなかったという。
また、済生会グループでは、82病院のうち49病院がDPC対象病院に参入し、平均在院日数の短縮が進み、病床稼働率が低下している。松原常任理事は「入院患者数と救急患者数の減少傾向は、従来黒字基調だった病院でも表面化している」とし、高齢者の受診抑制が全国的に進んでいるのではないかと見ている。
さらに松原常任理事は「済生会病院のうち350床以上の規模の病院や3次救命救急センターに指定されている病院は全体の約3割程度。むしろ地域医療を支える150床から350床程度の”生活密着型”の一般病院が多い」と指摘。08年度診療報酬改定では、急性期に特化した病院に手厚く配分された一方で、高齢患者の急性期支援などで地域医療を支える中小規模病院の収入アップにつながる内容ではなかったと見ている。このため次期診療報酬改定では、150−3000床規模の生活密着型の病院でも安定的経営を維持できるような改定を求めていきたいとしている。(4/2MEDIFAXより)