消化器診療内容向上会レポート
消化器診療内容向上会を4月5日に京都平安ホテルで、京都消化器医会、京都府保険医協会、エーザイ株式会社の共催により開催した。今回は、恒例の「消化器疾患における保険診療上の注意点」(角水正道氏)の他に、中島悦郎氏より「国保の現状と未来」について講演があった。
消化器疾患での保険診療注意点を検討
消化器疾患における保険診療上の注意点として以下の6項目につき討論した。
1 ヘリコバクター・ピロリ感染に対する除菌療法について:ヘリコバクター・ピロリ感染症(またはヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)に加えて感染症対象疾患名(慢性胃炎、胃潰瘍等)を明記する。慢性胃炎等診断根拠となる内視鏡の実施日は記載が必要(内視鏡所見は不要となった)。
2 ペンタサ4・0gの投与期間について:1日4000mgを8週間を超えての投与は認められていないので、超過する場合は詳記が必要で算定可能かは審査員の判断による。
3 強力ネオミノファーゲンシーの点滴について:同薬は連日投与で効果を発揮するものであり、月に1、2回だけ投与の場合に査定されている都道府県が多数あるので、査定される傾向にあり、注意が必要。
4 免疫抑制・化学療法実施時のB型肝炎ウイルスチェックについて:免疫抑制・化学療法を要する疾患の診断名に加え「(B型)慢性肝炎疑い」でHBs抗原、HBs抗体、HBc抗体を調べる。いずれかが陽性の場合は「B型慢性肝炎」または「B型肝炎キャリア」と診断を変えガイドライン通りにHBV−DNAを測定する。
5 アコファイドの処方について:アコファイドの投与前には上部消化管内視鏡等により胃癌等の器質的疾患を除外する必要がある。胃潰瘍、ヘリコバクター・ピロリ感染症は転帰が「治癒」となれば処方が可能。慢性胃炎は治療中でも処方が可能。
6 逆流性食道炎におけるパリエット処方について:10mgまたは20mg1回投与でコントロール不良の場合、更に1日2回8週まで投与可能。ただし、20mg2回投与の場合は上部消化管内視鏡で逆流性食道炎が治癒していないことを確認する必要あり。その後の維持療法は10mg1日1回投与のみが認められている(維持療法で1月以上経過後の再燃例については、前記の手順を踏めば20mg投与および1日2回投与を繰り返すことができることもある)。
「国保の現状と未来」では、電子化により突合や縦覧が容易になったこと、医師のレセプトを医師が審査するのは理に合わないと、医療機関が直接保険者にレセプトを提出し疑義のあるもののみを審査員が審査するという案が出されていることなどが紹介された。
(乙訓・角水正道)