消化器診療内容向上会レポート

消化器診療内容向上会レポート

消化器内視鏡検査時の鎮静法と肝炎ウイルス関連検査について講演

初めての消化器診療内容向上会
初めての消化器診療内容向上会

 初めての消化器診療内容向上会を4月3日、京都消化器医会、エーザイ株式会社、京都府保険医協会の共催で、ホテルフジタ京都において開催した。京都消化器医会第95回総合画像診断症例検討会の「OnePointLecture」を消化器診療内容向上会として開催したもので、京都消化器医会副会長の粉川隆文氏と中島悦郎氏が講演、65人が出席し、会場が満席になる盛況であった。

 粉川氏は「Conscious sedation―内視鏡検査の理想の鎮静法を目指して―」と題する講演で近日京都消化器医会から発刊される同名の小冊子を紹介した。検査を楽に安全に受けたいという患者側の要望に対し、違法性のない、事故のない鎮静を外来診療で行う上での実際的でわかりやすい指針を示すという発刊の目的を説明した。事故の少ない鎮静レベル(conscious sedation)の定義とその確認方法を示した上で、具体的な使用薬剤の種類と使用量の目安を提示した。外来で行う消化器内視鏡検査においては、半減期の短い鎮静剤の使用が望ましいことを強調し、現在最も頻用されているdiazepam(セルシン・ホリゾン)の半減期が35時間と非常に長いことから、その外来使用に対して警鐘を鳴らした。

 また粉川氏は、医療費増大防止の名のもと過度の診療報酬削減を強いられている日本の現状と、市場原理の導入によって製薬会社と保険会社に食い物にされるアメリカの医療事情とを比較し論じた。

 一方、中島氏は「肝炎ウイルス関連検査に関する保険請求上の留意点」と題する講演を行い、HBs抗原(定性)とHBs抗原(精密)の違い、B型肝炎の臨床経過においてのHBe抗原とHBe抗体の推移、HBe抗原陰性時の留意事項、HBc抗体陽性のもつ意味について詳細に説明した。「ウイルス性肝炎(の疑い)」の病名で(1)入院時感染症情報として検査した場合(2)慢性肝障害で肝炎ウイルス検査がなされていない場合には「HBs抗原(定性)、HBc抗体、HCV抗体」あるいは「HBs抗原(精密)、HCV抗体」のいずれかの組み合わせの保険請求を認めることで国保・基金の合意がなされていることを伝えた。

 また、中島氏は2010年3月にC型慢性肝炎の治療ガイドラインが改訂され、高ウイルス量の初回治療の選択肢として新たにIFNβ+リバビリンが加えられたことを報告し、さらにNASHの可能性が高い患者を拾い上げるために有用な臨床指標(NAFIC score)を紹介した上で、スコア化に必要な検査を行う際の留意点について詳述した。

(伏見・沖 映希)

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