法制化で診療報酬の評価も視野/急性期病床群WGが初会合  PDF

法制化で診療報酬の評価も視野/急性期病床群WGが初会合

 急性期医療への人的資源の集中投入に向けて厚生労働省が医療法での位置付けによる認定制度創設を目指す「急性期病床群(仮称)」について、社会保障審議会・医療部会に設置した「急性期医療に関する作業グループ」(座長=田中滋・慶応大経営大学院教授)の初会合が12月22日、厚労省内で開かれた。出席した構成員からは「急性期」の定義に共通認識がないとの指摘や、現行の一般病床の中で急性期病床群を区分することが本当に国民のためになるのかといった厚労省案への疑問点が示される一方で、急性期医療への人的資源の投入や患者の受診動向の改善につながるとして評価する意見も上がった。厚労省は急性期病床群認定制度を盛り込んだ医療法改正法案を年明けの通常国会に提出する考えで、2012年1月6日の次回会合を含めて数回の会合を開き、意見を取りまとめたい考え。

 認定制度創設について厚労省は、急性期医療を担う急性期病床群の機能が明確になるため、国民・患者に医療機関の機能の一部が「見える化」されると説明。医療法で位置付ける効果については、診療報酬だけでは十分に対応できない「機能の見える化」「医療計画の推進」が図られるとした。「見える化」では、医療機関が地域の中で担うべき機能を自ら確認・点検することで、医療の質の向上が期待できると説明した。医療計画との関係では、都道府県が認定に関与することで、急性期医療の実態に即した医療計画の策定が期待できるとした。

 法制化の必要性についての質問に対し、医政局総務課の池永敏康課長は「医療法は診療報酬を決める上での大きな土台となる法律だ」として将来的な診療報酬上の評価を示唆した上で、診療報酬の算定要件のような細部にわたる基準を定めないまでも医療法で急性期病床群の方向性を示すことは不可欠との考えを述べた。地方で構築された急性期医療から慢性期医療・在宅医療へとつながる医療提供体制が急性期病床群の創設で破壊されるのではないかとの懸念に対しては、地方の状況に配慮した制度設計を行う考えを示した。

 認定要件には、人員配置基準・構造設備基準・平均在院日数をベースに機能要件を追加するとし、機能要件ではこれまでの説明の通り▽患者の入院経路▽処置内容(手術など)▽疾病・病態―の3要件のうちいずれかを満たすことが必要になると説明した。

 認定病院には後方支援部門の設置による退院調整・退院支援を求める考えも示した。(12/26MEDIFAXより)

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