法人施設の有床診、3割が赤字/日医総研が12年度調査
日医総研はこのほど、有床診療所の2012年度の財務状況などについて調査した結果を「有床診療所の現状調査」と題したワーキングペーパーにまとめ、11月13日の都道府県医師会有床診療所担当理事連絡協議会で発表した。法人施設の経常利益率は4.8%で、全体の29.5%が赤字だったことがわかった。
調査は全国有床診療所連絡協議会員を対象に、2年ごとに実施している。今回の調査は13年6月、839施設から回答を得た(回収率30.4%)。1施設当たりの平均医師数は2.0人だった。1人医師の施設は全体の37%、夜間の看護体制は平均1.4人となり、いずれも増加傾向を示した。
医業介護収益は法人3億2431万円、個人2億755万円で、経常利益率(経常利益/医業介護収益)は法人4.8%、個人18.0%だった。10年度の前回調査と定点で比較すると、法人の経常利益率は4.9%から5.1%に微増したものの、医業介護収益は3億2774万円から3億2296万円への微減となり、入院収入は9674万円から8768万円に減少した。法人の入院収入と経常利益率の関係を見ると、入院収入が医業収入の中で占める割合が高くなると経常利益率は下がる傾向が見られた。
管理栄養士は全体の33.1%が雇用しており、雇用困難と答えた施設は41.8%に上った。診療科別では、内科で4割が雇用する一方、産婦人科や眼科は2割に満たず、日医総研は「職員数、入院患者数、経常利益が有意に影響を与えており、それらが少ないほど管理栄養士の雇用が困難、という結果になった。規模が小さい施設ほど管理栄養士を雇用できない状況にあると推測できる」としている。
一般病床の入院患者は80歳以上が5割を占めた。「退院できる病状だが、退院日は未定」とした理由で最も多かったのは「在宅での受け入れ体制が整っていない」(38.5%)で、在院日数が3カ月以上の患者は55.9%に上ることもわかった。(11/14MEDIFAXより)