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決議

 消費税率再引き上げの先送りを争点とした、大義なき解散・総選挙に勝利した安倍内閣は、現在国会で審議されている「安全保障関連法案」を安定多数の力を背景に、平和憲法の精神を無視し、成立させようとしている。また、福島の教訓を忘れ、原発再稼動に舵を切ろうとしている。

 医療分野においても2014年6月、医療・介護総合確保推進法を充分な審議を尽くすことなく成立させた。さらに2015年5月、医療保険制度改革関連法の成立により、2018年度から国民健康保険の運営が市町村から、都道府県に移管される。これは医療費適正化の名のもと、都道府県に公的医療費削減の役割を課すものであり、疾病の自己責任論などと共に国の公的責任が否定されかねない。また同法に盛り込まれた「患者申出療養」は皆保険制度の崩壊に繋がりかねない新しい混合診療である。安全で良質な保険診療を全ての患者に提供したいと願う保険医にとって、個人の経済力によって受ける医療に格差を生じさせる混合診療は容認できない。医療・福祉分野の市場化・営利化も推進され、TPP等の動向と相まって憂慮する事態が進行している。

 また、医療法の一部が改正され、予期せぬ死亡事例が発生した場合には院内事故調査を行い、第三者機関の医療事故調査支援センターに報告する医療事故調査制度が10月から始まる。本制度は医療安全の確保を目指すものであり、紛争解決・責任追及を目的とすべきではない。

 私達は、保険医の名誉にかけ、全力をあげ崇高な理想と目的を達成することを誓い、次の項目を要求し決議する。

一、憲法を尊重し、医療・介護・福祉制度を拡充する社会保障基本法を制定すること。

一、国民皆保険を堅持・拡充・発展させること。

一、次期診療報酬改定では、専門性に裏付けられた開業保険医の質の高さと国民皆保険制度を支える日常診療を正当に評価し、改善を図ること。

一、「患者申出療養」をはじめとする混合診療解禁政策は撤回すること。

一、医療事故調査制度は医療安全を目的として再発防止に徹すること。調査結果が医療担当者の「責任追及」の材料とならない運用を行うこと。

一、医療機関における消費税損税を解消するゼロ税率等の手立てを講ずること。

一、憲法違反の集団的自衛権行使を容認する安全保障関連法案は撤回すること。

一、一旦事故が発生すれば対処不能な原発エネルギー政策を即刻転換すること。

一、医療の公共性と安全性を崩壊させるTPPへの参加を止めること。

2015年7月26日
京都府保険医協会
第68回定期総会
(第189回定時代議員会合併)

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