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決議

 
 2014年4月診療報酬改定は、1・26%の実質マイナス改定となったばかりでなく、2025年段階の姿として国が構想する医療の姿へと医療機関を強引に誘導する意図が盛り込まれたものであった。また、医療機関とりわけ病院にとっては、8%への消費税引上げの負担増が大きくのしかかり、この問題の解決を望む声は日増しに大きくなっている。診療報酬は国民が保険で受けられる医療の質や範囲を決める国民皆保険制度の根幹を成すものであり、消費税負担問題の解決を含めて直ちに是正するよう求める。
 一方で政府は『医療・介護総合確保法』を強行成立させた。同法も医療費抑制のための医療提供体制再編を強権的に進めるものであり、都道府県が主体となって医療費抑制のための提供体制改革が進められる。介護分野では「要支援」者への訪問介護・通所介護給付除外や特養の入所制限など、介護保障を国民から遠ざけるものである。
 また、同法で法制化された医療事故調査制度については、原因究明と再発防止に徹して、調査結果を医療担当者の「責任追及」の材料としない制度として創設するよう求める。
 同時に、医療・福祉分野の市場化・営利化も推進されており、TPP等の動向と相まって重大な事態が進行している。安倍内閣は新たな混合診療拡大策として『患者申出療養(仮称)』を保険外併用療養費制度に新設する方針を表明した。混合診療は個人の経済力によって受ける医療の格差を生じさせるものである。国民皆保険制度の下、安全で高水準の医療をすべての患者に提供する責務を負う医療者にとって、混合診療拡大策は断じて認められない。また、地域の医療機関の淘汰、改廃に大きく係わってくる可能性の高い「非営利ホールディングカンパニー型法人」についても注視していく必要がある。
 さらに、深刻な事態が続いている福島第一原発事故に対して、国に長期で最大限の対策を求めるとともに、健康被害を中心とする被ばくによる広範な被害に対する公的保障を求める。
私たち保険医は、今こそ国民皆保険制度を守り、安全で安心な医療・介護が提供できる国民本位の医療制度・社会保障制度の確立と充実を願うものである。その実現を目指し『社会保障基本法』の制定運動を進めていく。その要求を軸に以下の通り決議する。
 
一、公的医療保険で安心・安全な医療が提供できる診療報酬を保障すること。
一、医療機関における消費税損税を解消するゼロ税率等手立てを講ずること。
一、『医療・介護総合確保法』を撤回すること。
一、医療の公共性と安全性を崩壊させるTPPへの参加を止めること。
一、『患者申出療養』をはじめ、すべての混合診療解禁政策を撤回すること。
一、原因究明と再発防止に徹し、調査結果が医療担当者の「責任追及」の材料とならない医療事故調査制度づくりをすること。
一、原発事故に対する長期で最大限の対策を実行するとともに、原発に依存したエネルギー政策を根本的に転換すること。
一、国民的議論が不十分なまま閣議決定された「集団的自衛権行使容認」の法整備を進めないこと。
一、憲法25条の理念を具体化する社会保障基本法を制定し、国民本位の医療・介護・年金・福祉制度を確立すること。そのための財政措置を施すこと。
2014年7月27日
京都府保険医協会
第67回定期総会
(第187回定時代議員会合併)

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