民間病院・診療所、課税で重い負担/医療経済実調
10月30日の中医協総会に報告された第17回医療経済実態調査では、開設主体ごとの税引き後の損益差などが明らかになった。医療法人立の一般病院や診療所では、医業・介護収支では一定の黒字を出しながらも、課税によって黒字幅が縮小されている現状が明らかになった。
単月(2009年6月)調査によると、医療法人立の一般病院(集計1=介護収益割合2%未満)は1施設当たり、医業・介護損益差額で324万1000円の黒字を計上。医業・介護収益に占める黒字の割合は2.1%で、国立の一般病院とほぼ同等だ。しかし、税引き後も国立病院は2.0%の黒字を維持しているのに対し、医療法人立病院の黒字幅は0.2%にまで縮小している。また、医療法人立の一般診療所(集計2=調査参加医療機関の集計)も税引き前の損益差は4.4%の黒字だが、税引き後は2.8%まで黒字幅が縮小している。
都道府県や市町村など公立の一般病院は、人件費率がほかの開設主体を大きく上回る60.5%を占めるなど、医業・介護損益差額は医業収支費15.5%の赤字を計上。補助金などにより赤字を改善し、税引き後は2.6%にまで赤字幅を回復させている。
従来は「医療法人立・その他」でくくられていた「医療法人立の一般診療所」の経営実態も明らかになった。単月調査では医業・介護損益差額は59万2000円の黒字、税引き後は38万円の黒字となっている。今回初めて実施した直近の決算データを用いた年間調査では医業・介護損益差額は760万2000円の黒字、税引き後は506万1000円の黒字だった。(11/4MEDIFAXより)