民間保険のCMに惑わされるな! 日本の医療制度を守り良い制度に  PDF

 民間保険のCMに惑わされるな! 日本の医療制度を守り良い制度に

 市民の立場から見て日本の医療制度の良い点はどんなところかを再確認し、それを守りより良い制度に変えていくためにはどうすればよいかについて考えるため、協会は11月30日、市民公開講演会「知らなきゃソン! 公的医療保険はこんなに使える〜テレビでおなじみ民間医療保険の限界を知る〜」を開催した。講師は、『「一生安心」にだまされるな 医療保険はすぐやめなさい』を著したファイナンシャルプランナーの内藤眞弓氏。50人の会員・市民が参加し、その場で日本の医療制度の良い点の一つである高額療養費制度について、改善要望を取りまとめた。

 内藤氏は、民間医療保険について公的医療保険との関係や保険商品をタイプ別に詳しく解説。日本の民間保険は、あくまで公的保険があることを前提に組み立てられたもので、それを超えるものではなく、保険会社はその範囲内で収益をあげることを考えている。公的医療保険は世界に誇れる制度であり、高額療養費など優れた制度を知り活用すべきだとした。

 それに対して民間保険は、▽加入および給付の可否は保険会社が決定▽リスクに応じた保険料▽所定の入院・手術に対して定額の現金給付▽保障内容は時代が変わっても不変なため合わなくなる可能性—などを特徴とする。民間保険の利用は、自分の力だけでは備えが不足するとき、現役世代のみにすべきで、医療、介護費は貯蓄で準備すべきであると結論づけた。

 そして、コマーシャルの大量投入により、公的保険が頼りにならないと多くの人が誤解し、民間保険に入っておかないといけないと思い込んでしまうことを懸念。TPPで日本の公的保険は硬直的だから民間に任せた方が良いというような話が出たときに、それに肯くようになってしまうことが恐いと危惧を示した。

 一人ひとりが望む暮らしを継続的に実現するためには、自分で考えて保険をどうかけるのが良いのか、あるいは保険はやめて現金で準備しようという判断を、CMに煽られずに行うことが重要である。さらに、保険より大事なこととして、(1)かかりつけ医を持つ(2)介護に備えて準備する(3)人のつながりを大事にする—の3点を挙げた。

高額療養費の改善を要望

 協会は市民講演会でとりまとめた「高額療養費制度に関する改善要望」をさらに精査した上で12月24日、田村厚労大臣宛に送付した。要望は、(1)全ての所得層で限度額の引き下げを行うこと(2)限度額適用認定証なしでも医療機関窓口で上限額までの支払いですむようにすること(3)月またぎでも制度の恩恵を受けられるよう自己負担限度額に年間の上限額を設けること(4)70歳未満はレセプト1枚あたり自己負担額2万1千円以上でないと合算の対象とならないなどの制限をなくすこと(5)支給対象の範囲を「先進医療」など保険外の医療費にも広げること(6)同じ世帯の家族が別々の健康保険に加入している場合なども合算の対象とすること—の6項目(要約)。

 

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