民主党府連と懇談 府内の医療問題を中心に
右から民主党の米澤・森川・山本・隠塚・上村・田中・中村・相原議員
協会は4月30日、民主党京都府総支部連合会(山井和則会長・以下、府連と表記)の政策調査委員会(北神圭朗委員長・以下、政調と表記)との懇談会を民主党京都府連会議室で開催した。懇談には府連政調から、隠塚功委員長代理(京都市会議員)、上村崇事務局長(京都府議会議員)、田中健志団体交流局長(京都府議会議員)、山本拓史議会対策局長(京都市会議員)、中村栄仁市民交流局長(向日市議会議員)、森川信隆議会対策局次長(八幡市議会議員)、米澤修司団体交流局次長(京田辺市議会議員)、相原佳代子南部交流局次長(城陽市議会議員)が出席。協会からは関理事長、垣田・貫戸・鈴木副理事長が懇談に臨んだ。
懇談は垣田副理事長の司会で進行し、関理事長と政調の隠塚委員長代理がそれぞれ挨拶した。隠塚氏は、協会の示したテーマの中に府連としてのビジョンを問うものもあるが、そこまでは府連の議論が到っていない部分もある。次の府連マニフェストに向け、本日の懇談を契機に考えていきたいと述べた。
その上で、協会から4つのテーマを説明し、意見交換した。
「府政円卓会議」について
第1テーマは、産科をめぐる問題を中心に、京都府内各地でのマンパワー不足について説明。特に疲弊の著しい北部地域で、関係者が一堂に会し、課題解決へ向けた論議を行う「府政円卓会議」を、民主党が主導して開催すること、その際、協会も地域医療に関連する団体として参加したい旨を申し入れた。これに対し、隠塚氏は民主党が呼びかけて行政も入った懇談会開催は可能ではないかとの認識を示した。
協会の提言について
第2テーマとして、協会が2月に発表した「京都府提案への反論と地域医療提供体制への提言」の柱を紹介。京都府の国保一元化提案のうち、特に「診療報酬決定権限委譲」は取り下げるよう府知事へ働きかけること、医療提供体制をめぐる地域の実状・問題点・課題を、患者や医療者の声を聞き、京都府として調査・把握する取り組みの強化を、府へ働きかけること等を求めた。これに対し、府連側からは、国保の将来が危ぶまれる中、国の言うままでなく、府として能動的に動くという点で提案には意義もある。今後の推移を見守りたい。一方で、広域化自体は保険料の高騰等の問題も予想される。医療費負担も保険料負担も全国一律であるべきだと自分たちは考えているとの考えが述べられた。これに対し、協会からは、医療はナショナルサービスであり、地方分権で格差をつけてはならないと重ねて述べた。
公衆衛生施策について
第3テーマは、京都市の保健所機構改革問題について経過を説明し、新たな時代に対応できる公衆衛生行政について、民主党としてのビジョンを問い、公衆衛生を進める保健所医師の養成・確保が極めて困難な中、府が京都市域も含めた公衆衛生を担う医師の養成・確保に向けたビジョンを策定すべきではないかと求めた。また、保健所を中心とした行政・患者・地区医師会の連携が進むよう、日常的な連絡体制の構築、協議会の設置等も求めた。また、特定健診や胃がん健診等の受診率が思わしくないことに触れ、これまで保健所が受診率向上に果たしてきた役割についても言及した。また、特定健診会場の確保が難しくなっている実態も紹介した。これに対し、府連側は今回の京都市の機構改革の意図と協会の考えに大きな違いはない。しかし、制度を変えたことが後退につながることがあってはならない。保健所についても、今までの地域と保健所の関わりが後退するようなことがあれば、その原因を質し、改善するように努力したいと答えた。
予防接種行政について
第4テーマは、日本の予防接種行政の他先進国との「ワクチンギャップ」について。HPVワクチン接種等への国による公費負担等を求めると同時に、府でも、接種費用補助等を確立するよう求めた。また、HPVワクチンについて、思春期に接種を進めることで性教育にもつながる等、積極面が極めて大きいことを強調した。これに対し、府連側からはなぜ国は早々にポリオ不活性化ワクチンに移行しないのか等の質問が相次ぎ、基本的に協会の要望へは異論がなかった。
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今回の懇談を通じ、地方の政治を担う地方議員の方々と、地域医療を担う医師とが、問題意識を交換し共有できる場の設定が必要であることがあらためて浮き彫りになった。
第1のテーマで協会が求めたように、各地域においても、患者・医療者・行政も含めた意見交換・協議が細やかに行われることが今後、大切であろう。