民主「医療保険一元化」の検討開始/運営は都道府県単位で
長寿医療制度(後期高齢者医療制度) の廃止後の公的医療保険の在り方について、民主党は「医療保険の一元化」に向けた議論を活発化させている。党内では、保険料の徴収事務を新たに創設する「歳入庁」に任せ、都道府県単位で医療保険を運営する案が挙がっており、近く党内に医療制度と税制を議論する会議を新設し、次期総選挙のマニフェストに盛り込むため検討を進める。
民主党の厚生労働部門会議がまとめた中間報告によると、医療保険の一元化は後期高齢者医療制度の廃止後の制度設計として提言。国保や政管健保、健保組合など医療保険者の垣根をなくし、都道府県単位で医療保険を運営するのが望ましいとしている。
同党の鈴木寛参院議員によると、社会保険庁をなくし国税庁に統廃合して新たに創設する「歳入庁」に、保険料の徴収事務を任せる案が挙がっている。また、医療保険の運営は住民が居住している都道府県単位にする。運営の主体は都道府県にするか、新たに都道府県ごとに知事を長とする法人を設けるかを検討している。
一元化までの過程については、まずは統合しやすい国保と政管健保をまとめた上で、順次健保組合の統合も図る。企業が拠出してきた保険料負担は「法人住民税(仮称)」などの名目に変えて、引き続き負担を求めていく。
また、都道府県ごとの保険料に過度な格差が生じないよう、都道府県間で財政調整できる仕組みの導入も検討する。ただ保険者努力によって医療費適正化の成果を上げた県が報われるよう必要最低限の調整とする。
同党が考える歳入庁は、税と年金、医療保険の徴収代行を一手に担当する組織。市町村の税務署単位で窓口を設ける。すべてを一元化して徴収代行することで、所得税の過少申告や年金の過大申告を防げる効果があるとしている。(6/19MEDIFAXより)