民主、総選挙へ医師会の分断狙う/
都道府県医にマニフェスト原案送付
民主党は、次期総選挙のマニフェストに盛り込む医療関連項目の原案を固めた。日本の医療費を先進国並みに増やすとしたほか、外来管理加算の「5分ルール」を見直すと明記。療養病床削減計画も廃止するとした。「5分ルール」見直しや医療費の増大など、これまでの医師会の主張をおおむね取り込んだ内容とすることで、自民党の有力な支持母体である医師会の分断を図るのが狙いだ。マニフェスト原案は、各都道府県医師連盟と各地の郡市区医師連盟に送付した。
民主党の山田正彦・次の内閣厚生労働大臣は10月1日、メディファクスの取材に応じ「地域の医師会で民主党を支援したいとの声もある。われわれが考える医療政策を一足先に先生方に示した」と述べた。マニフェスト原案は今後、医療関係者の意見を聞きながら正式な形にまとめるという。
マニフェスト原案によると、「5分ルール」は医療機関の減収に直結するとして「診療内容を時間でなく中身で評価する」としている。また、後期高齢者の入院基本料が91日目から減額される「後期高齢者特定入院基本料」は、患者の追い出しにつながるルールとして廃止するとした。
現在35万床ある療養病床を2012年度末までに22万床に削減する厚生労働省の再編計画は「即時中止と抜本的見直しを求める」とした。その上で25年度に必要となる療養病床を約37万床と推計し、医療と介護による役割分担と連携で取り組むとした。
社会保障費2200億円を毎年機械的に削減する政府の政策に対しては「社会保障費にキャップをかけるような方式は採らない」と主張。医療費全体をほかの先進諸国並みに増やしていくとしている。このほか7月から凍結されている「後期高齢者終末期相談支援料」は復活させずに廃止させるとしたほか、「厳しい状況下で地域医療に積極的に貢献する医師」を評価するとした。
マニフェスト原案と一緒に各医師連盟にあてた文書では、日本医師会が反対している「包括医療の推進」や「混合診療の解禁」にも言及した。急性期病院を中心に導入されているDPC制度はやむを得ないものの、包括評価について「これ以上広く認める気持ちはない」とした。さらに「国民皆保険を堅持していく中で、自由診療につながる混合診療も認めていく気持ちはない」としている。
次期総選挙をめぐっては、茨城県医師連盟が民主党支持を打ち出したが、日本医師連盟は「自民党を中心とした政権与党」の候補者を推薦する方針を示している。(10/2MEDIFAXより)