死因究明で評価マニュアル案/厚労省研究班、発生時の適切性に重点

死因究明で評価マニュアル案
/厚労省研究班、発生時の適切性に重点

 厚生労働省の補助金を受けて医療関連死の調査分析に関する研究を進めている研究班が、「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」の評価に関する視点や用語のマニュアル案をまとめた。モデル事業で死亡事故の臨床経過を評価する際、事故発生時点での診療行為が適切だったかどうかに視点を置くことなどを強調する内容となっている。厚労省は「医療安全調査委員会(仮称)」設置を柱とした診療関連死の原因究明制度創設を検討しており、このマニュアル案を新制度でも適応できるものに仕上げるため研究を進める考えだ。

 この研究は、厚労省の医療安全・医療技術評価総合研究事業の一環。厚労省が日本内科学会に委託しているモデル事業では、死亡事例ごとにまとめる報告書のひな型は決まっているものの、評価する上での視点や用語の使い方に関して明確なルールが決まっていなかった。現行では「事故発生後からさかのぼって評価し、『このような診療行為がされるべきだった』という内容の報告書が多い」(医政局医療安全推進室) という。

 今回まとまったマニュアル案では、報告書に記載する「臨床経過の医学的評価」について「結果を知った上で振り返って評価するのではなく、死亡発生に至るまでの診療過程を時間的経過に沿って段階的に分析し、診療行為をした時点の当該病院での診療体制下で、標準的診療行為が行われたかどうかを医学的観点から評価する」ことを明確にした。その上で「どうすれば死亡を回避できたか」との視点での評価は「再発防止への提言」として盛り込むことを提案。その際には、事故発生時には実施困難である提言も含まれることもあるため、「臨床経過の医学的評価」とは異なる視点での評価であることを明記する必要性も指摘した。

 厚労省は2008年度のモデル事業で、マニュアル案に沿った評価を進めながら、さらに見直しを進める方針だ。(7/8MEDIFAXより)

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