次期介護報酬改定は3.0%引き上げ/初のプラス改定へ、財源規模は約2300億円
麻生太郎首相は10月30日、首相官邸で「新たな経済対策に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議」を開き、追加経済対策を取りまとめた。
追加対策には、2009年度の介護報酬改定について「3.0%引き上げ」を実施することを明記した。3.0%引き上げによる国庫負担分の約600億円は、09年度当初予算に盛り込まれる予定。プラス改定による国庫負担分をめぐっては財務省の反発があったものの、「断固プラス改定」という自民党の強い意向に財務省が折れた格好だ。
改定率をプラス3.0%とした根拠について、厚生労働省は「06年度改定以降の賃上げ率や物件費を加味した上昇分が1%弱。それを上回る率ということで3%になった」(老健局総務課) としている。3.0%引き上げによる財源規模は介護給付費と被保険者の1割負担分を合わせて約2300億円。介護従事者の処遇改善をめぐっては、民主党が07年、平均賃金が一定以上の認定事業所の職員に対し月額2万円賃上げする案を示し、財源規模は約900億円としていたが、政府・与党は民主党の財源規模を上回る対策を示すことで、「介護従事者の処遇改善」を強くアピールする狙いがあったとみられる。
追加経済対策で、介護報酬改定の3.0%の引き上げが決まったことを受け、政府は介護保険料の急激な上昇を抑制する措置として約1200億円を投じる。09年度は改定による上昇分の全額を、翌10年度は上昇分の半額について、被保険者の負担を国費により軽減する。
介護保険料の軽減に当たっては、65歳以上の第1号被保険者の保険料分は市町村に基金を設置。40−64歳の第2号被保険者については保険者団体などに交付する。今回の軽減措置はプラス改定による負担増分のみで自然増分は含まないが、自治体で積み立てている介護保険準備基金からも補てんするため、第4期介護保険料は1号・2号被保険者ともに100−200円程度の引き上げにとどまる見通しだ。
追加経済対策では、次期介護報酬改定の3.0%引き上げに加え、介護福祉士の修学資金貸付金事業の拡大や、母子家庭の母親に対する介護福祉士・看護師の資格取得の支援、外国人看護師・介護福祉士候補者への日本語研修も盛り込んだ。こうした対策によって、介護人材などを10万人程度増強するとした。(10/31MEDIFAXより)