機能分化進め医療費抑制へ 次々回医療・介護同時改定の地ならし  PDF

機能分化進め医療費抑制へ 次々回医療・介護同時改定の地ならし

16年度改定の狙い

 2016年4月、診療報酬が改定される。その内容は、医療・介護総合確保推進法(2014年)、医療保険制度改革関連法(2015年)の下で進められている医療機能の分化・強化・連携、医療・介護の一体的な基盤整備、2018年の医療・介護の同時改定など、2025年を見据えた中長期的な改革の流れの一環として位置付けられた改定となる。改定の動向を見ていきたい。

 診療報酬改定は、(1)社会保障審議会の医療保険部会と医療部会で基本方針を策定する(2)内閣で改定率(必要予算)を決定する(3)中医協で具体的な内容を詰める—という役割になっている。

 16年度改定の基本方針は、12月2日、4日に開催された社会保障審議会の医療保険部会、医療部会で了承され、7日に公表されている。今後のスケジュールは、12月下旬に予算編成過程で改定率を決定。1月中旬に厚労大臣が中医協に諮問、中医協の公聴会、パブコメを経て、2月中旬中医協が答申、3月上旬に告示・通知が予定されており、例年と同じだ。

 16年度改定の基本方針で示された「基本認識」は本文冒頭で紹介した通り。その重点課題は「地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携」である。

 具体的には、(1)医療機能に応じた入院医療の評価(2)チーム医療の推進等(3)地域包括ケアシステム推進のための取組強化(4)質の高い在宅医療等の確保(5)外来医療の機能分化—の5点が掲げられている。

 中医協での検討を見ると、(1)ではICUや7対1病棟の「重症度、医療・介護の看護必要度」の見直しが、(2)では月平均夜勤時間の72時間要件の見直し(「M項目(手術等の医学的状況)」の新設等)が、(3)では地域包括ケア病棟の包括範囲の見直し等が議論されている。

在宅点数は大幅組換えが予想

 また、(4)では訪問診療料、在宅時医学総合管理料等(在医総管・特医総管)の同一日建物居住者の考え方の見直し(同一日から同一月への変更)や、重症度、訪問診療の実施回数、施設区分、月内での診療人数を勘案した新たな区分が提案された。新区分案では「重症患者(月2回以上訪問)」、「その他(月2回以上訪問)」、「その他(1回訪問)」という3区分の軸と、集合住宅・施設内の診療人数で細分化する軸との組み合わせで評価する案が提案された。この診療人数については、厚労省保険局の宮嵜課長が「1人」「2〜9人」「10人以上」で設計するという考え方を示している。

 さらに(5)では、厚労省から、地域包括診療料、地域包括診療加算の対象疾患に「高血圧症、糖尿病、高脂血症以外の疾患を有する認知症患者」を加えてはどうか等の意見が、診療側からは地域包括診療料の要件を緩和するよう意見が出されている。

医科点数、プラス改定なるか?

 気になる改定率だが、2016年度予算編成では、社会保障費の伸びを概算要求の段階から約1700億円抑えることが求められている。これを踏まえて、財務省・財政制度等審議会は11月24日、「薬価改定に加え、診療報酬本体のマイナス改定を」と建議した。

 12月4日の中医協で薬価・特定保険医療材料の価格調査結果が出され、薬価の平均乖離率は約8・8%、材料は同約7・9%と公表された。国費ベースで約1300億〜1500億円との試算が報じられている。協会は、薬価・材料の価格の引き下げ分を診療報酬本体の財源に充てるべきだと要求しているが、非常に厳しい状況にある。

 中医協では診察側が本体プラス改定を求め、12月11日の中医協の意見書に記載された。本体の改定では、調剤報酬が第一のターゲットとなりそうだが、医科はどうなるか。前回改定では12月20日に厚労大臣と財務大臣の協議が行われたが、今回も両大臣の合意まで予断を許さない状況だ。

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