東日本大震災津波復興計画を報告/岩手県・医療分野専門家会議
岩手県は9月30日、東日本大震災発生を受けて設置した「岩手県復興に向けた医療分野専門家会議」(会長=石川育成・岩手県医師会長)の4回目の会合を開き、同県が策定した「岩手県東日本大震災津波復興計画」に盛り込んだ保健・医療・福祉分野の取り組み項目などを報告した。8月1日施行の総合特別区域法に基づく同県全域を対象とした総合特区の申請を行ったことも明らかにした。さらに、気仙・釜石・宮古の各保健医療圏ごとに現状と課題をまとめた資料を提出し、各保健医療圏の医療・福祉提供体制について、被災後の患者動向などを詳細に分析しながら、地域の状況に応じて今後取り組むべき課題を抽出する必要があるとの方針を示した。
岩手県が8月11日に策定した「岩手県東日本大震災津波復興計画」は復興基本計画と復興実施計画で構成する。復興基本計画は2011年度から18年度までの8年間が計画期間。復興実施計画は11−13年度、14−16年度、17−18年度の3期に区分し、今回は第1期計画をまとめた。
復興基本計画の取り組み項目として「災害に強く、質の高い保健・医療・福祉提供体制の整備」を盛り込み、「緊急的な取り組み」「短期的な取り組み」「中期的な取り組み」に分けて今後の方向性を示した。中期的取り組みでは▽新たなまちづくりと連動し、人口集積の状況や高齢者等の支援ニーズに対応した保健・医療・福祉施設を整備▽地域の保健・医療・福祉の関係機関の機能を最大限に発揮する「遠隔医療」の導入などによるネットワークシステムの再構築▽高齢者等の要援護者が地域で安心して生活できる保健・医療・福祉の連携による地域包括ケアシステムの構築―などを課題に挙げた。
小川彰委員(岩手医科大学長)は「まちづくりがなかなか進まない大きな原因は、国の方針が決まらず、原資が定まらないからだ」と指摘し、同県に国への働き掛けを強く求めた。また、同県は県域が広大であることも踏まえ、遠隔医療の実現は医療資源の効率化で問題解決につながると期待を寄せた。高齢化の進展も見据え、地域包括システムの重要性も強調した。(10/3MEDIFAXより)