東京で赤字病院が拡大/全日病の10年度病院経営調査
全日本病院協会は、病院の経営状況を把握するため毎年5月に実施している「病院経営調査」の2010年度の調査結果をまとめ、11月20日の理事会に報告した。医業収支率は全体で2.4ポイントアップし改善しているが、東京では医業収支率100%未満の赤字病院が09年度の33%から2ポイント増えて35%となるなど、中小病院が東京で経営を維持していくことの厳しさが浮き彫りになった。
西澤寛俊会長は、今回の調査結果に対して「500床以上の病院を中心に医業収支の改善が認められた。10年度診療報酬改定のプラス改定が影響していると考えられるが、病院の長期的な存続・再生を可能とする数値には至っていない」と語り、病院・診療所の安定的経営の維持に向け、継続的に検討していくことが重要と指摘した。
経営調査は、例年通り5月1日から1カ月間を調査期間とし、全日病役員や代議員のほか、各県から無作為抽出した会員病院600病院を客体とした。回答病院は335病院(回答率55.8%)。335病院のうち、200床未満は75.2%を占めている。200−499床は22.1%、500床以上は2.7%だった。
病院の収支は、前年度調査の医業収支率104.3%から2.4ポイントアップし、今回調査では106.7%となった。医業収支率が100%未満の赤字病院は、前年度調査で298病院のうち68病院(22.8%)だったのに対して、今回調査では335病院のうち67病院(20.0%)と減少傾向となった。
一方で、東京の赤字病院は、07年度調査で42%、08年度は54%、09年度は33%、今回調査は35%と推移している。政令指定都市の赤字病院の比率の16%(前年度調査22%)と比較しても、東京での赤字病院の比率は高い。全日病は、東京は大規模病院が多く、中小病院が経営を維持していくことが難しいためとみている。
病床種別で見ると、一般病床の医業収支率は前年度調査の102.6%に対して今回調査は105.1%と2.5ポイントのアップとなった。療養病床、ケアミックス病院でも医業収支率は今回調査の方がアップしたが、精神病床だけは112.2%から今回調査で100.3%とダウンした。ただ、全日病は精神病床については詳しい調査が必要としている。(11/24MEDIFAXより)