未承認の幹細胞医療「関与すべきでない」/再生医療学会
日本再生医療学会は3月2日、科学的根拠が乏しく安全性が低いと考えられる未承認の幹細胞を用いた医療行為に、同学会員が関与しないよう求める勧告文を出した。再生医療を行うに当たっては、2010年改正された厚生労働省の「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」(ヒト幹指針)や薬事法に基づいた治験に従うよう求めている。勧告文は、同学会ホームページに掲載するほか、会誌へ掲載するなどして会員に注意喚起する。
勧告文は、ヒト幹指針や薬事法に基づいた治験などで安全性を確保せずに、治療効果や安全性がはっきりしない幹細胞を用いた医療行為を高額で提供している施設があると問題視した。同学会理事長の岡野光夫氏は「特に患者を守るという観点から勧告文を出した。関与している会員にはできるかぎり早く修正していただきたい。行き過ぎた行為があった場合は除名処分もあり得る。行政と相談して対応していきたい」とした。
また、同学会は今後、行政と連携して、自家細胞を用いた再生・細胞医療を、臨床研究から治験、診療報酬評価につなげる体制・制度を確立するほか、医療法や薬事法の改正を推進して適切な医療提供体制を構築することで、患者の安全性の確保に取り組む方針を示した。(3/3MEDIFAXより)