未収金対策支援は「即廃止」/厚労省事業レビュー
予算の執行状況を自ら検証する「行政事業レビュー」の厚生労働省関係の議論が、5月31日始まった。初日は医療機関未収金対策支援事業や医療給付費の適正化など4事業が対象となり、未収金対策支援事業については実績の少なさなどから「直ちに廃止」と結論付けた。
●実績なく必要性に疑問の声
医療機関未収金対策支援事業は医療機関の独自の未収金対策を後押しし、取り組みをほかの医療機関にも活用してもらおうと2009年度に創設された。09年度の予算額は5970万円で、10年度も3021万円が計上されている。09年度は補助実績がなく、出席者から必要性を疑問視する声が相次いだ。厚労省医政局指導課の新村和哉課長は、10年度は要件緩和や事業のPRなどを行っているとし「4件5病院から前向きに検討するという話をいただいている」と報告した。
最終的な結果では、事業の実施状況を把握できているかの質問に「妥当」が1人、「不十分」が7人となった。事業については6人が直ちに廃止とし、2人が「継続するが見直しが必要」とした。結果を受け、長浜博行副大臣は「新規事業でスタートして2年という状況を考えて、そもそも論からしっかり考えたい」と述べた。
●医療費適正化継続も「見直しを」
一方、医療給付費の適正化については「事業は継続するが、さらなる見直しが必要」と結論付けた。
厚労省側は適正化に向けた医療機関への指導・監査の状況などを紹介し、8000カ所を目標としている個別指導が08年度で3400カ所程度となっていると指摘。対応策として6月中をめどに、医療指導監査業務等実施要綱を作成し、指導・監査業務の平準化を図るなどの改革案を示した。
これに対し、外部有識者からは「個別指導の目標値の根拠があいまい。将来的な絵姿が見えてこない」(飛松純一・東京大大学院准教授)、「給付範囲の見直しや予防事業の効果、DPCなどの包括化も含めて議論すべきでは」(吉田あつし・筑波大大学院教授)などの意見が出た。(6/1MEDIFAXより)