未収金の実態浮き彫りに 病院84%、診療所31%で未収抱える  PDF

未収金の実態浮き彫りに 病院84%、診療所31%で未収抱える

 協会は2012年9月から13年4月にかけて、会員医療機関を対象に「窓口での未収金の実態」アンケートを実施した。病院の未収金が社会問題とされてきたが、協会が前年度実施した「受診抑制の実態」アンケートで、窓口3割負担の影響で診療所でも未収金が増加していることがわかった。これを受け、改めてアンケートを実施したところ、その実態が浮き彫りになった。未収金問題が医療機関の経営・存続を脅かせば、地域医療体制に大きな影響を与え、市民の生命と健康に深刻な影響を与えることから、協会はこの結果を改善につなげていきたいと考えている。対象は2056(地区懇の開催地区)、回収数は345(回収率17%)。内訳は診療所313、病院32。

年間で病院1455万円診療所でも26万円

 未収の実態について、(1)過去1年間で、1年以上一部負担金が未収となっている医療機関数(2)年間金額と件数―についてきいたところ、病院の未収規模が件数、金額ともに大きいことが改めてわかる。(図)

 病院は、(1)84%(27医療機関)(2)最高額は1455万円。件数は10件以上が68%を占め、最高は800件。診療所は、(1)31%(96医療機関)(2)最高額は26万円。10件以上は11%で最高は125件。

 そうした状況について、以前との比較で「変化なし」と答えたのは、診療所85%、病院53%。病院は33%がむしろ「減った」としている。

 患者1人あたりの累積金額をみると、最高額は病院で690万円(4年間)、診療所は20万円が2医療機関(2年間と10年間)で、10万円を超えたのは3医療機関であった。

善管注意義務の実践はわずか

 未収金の発生理由について、病院は(1)「生活困窮」75%(2)「支払う意思なし」72%(3)現金を持ち合わせていないなど「突発的事態」69%。診療所は(1)「突発的事態」43%(2)「支払う意思なし」18%(3)「生活困窮」15%(4)「わからない」14%―と分析している。

 回収の取り組みについて、病院は(1)電話97%(2)郵便91%(3)訪問、内容証明付郵便が同率50%(5)何もしていない3%で、診療所は(1)電話39%(2)何もしていない29%(3)郵便22%(4)訪問5%(5)内容証明付郵便2%。

 保険者徴収の前提となる善管注意義務については、病院でも「実践」が6%に止まり、「知らなかった」も22%あった。知っていても、「やろうと思うができない」44%、「手間がかかるのでやらない」16%、「風評が気になりやらない」3%であった。

 診療所では、「知らなかった」が52%、「手間がかかるからやらない」「やろうと思うができない」がそれぞれ8%、「風評が気になりやらない」6%、「実践」は3%あった。

 未収金問題の解決に望むことは、「保険者の責任で被保険者から徴収し医療機関に支払う運用」(病66%、診34%)、「自己負担割合の引き下げ」(病22%、診13%)、「特になし」(病9%、診29%)と病院と診療所で差が表れた。

未収金問題の解決に向けて

 健保法と国保法は一部負担金の未収金徴収について、善良な管理者と同一の注意を果たした上で医療機関が請求すれば、保険者が処分することができると規定している。しかし具体的には、一部負担金を支払うべきことを告げるだけでなく、その後に請求行動を具体的に起こすこと、書面による請求方式を採用し、内容証明付支払催告状の送付を行うなどが必要とされる上に、その対象についても金額が60万円を超え、保険料滞納処分を実施する状態にあるなど、ハードルの高いものとなっている。今回の結果もそれを裏付けた。

 協会は引き続き、保険者徴収を実際に活用できる制度にしていくよう取り組んでいくとともに、未収金回収に役立つ法的手続についても周知していく。

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