最近嵌まっていること
前田正明(上京東部)
最近園芸に嵌まっています。けれども観賞用の花ではなく、食用になるハーブや果樹、タンポポ等の野草を育てて楽しんでいます。一般には雑草として見られがちなタンポポですが、薬用や食用として利用されていて、焙煎された根はタンポポコーヒー、葉は食用や漢方として用いられています。
タンポポは江戸時代には園芸用として色々な品種が育てられていましたが、現在ではカンサイ、トウカイ、カントウ、シロバナタンポポが日本タンポポの主な品種です。シロバナタンポポ以外はDNAが2倍体であり、減数分裂をして花粉を作りますが、自家受粉ができない虫媒花であること、花や葉の大きさも比較的小さく総苞片(花弁の下の部分)は反らず角状突起(総苞片の突起)があること、春のみに花が咲くことが特徴です。それに対して明治初期に日本に入って来たセイヨウタンポポは、DNAが3倍体で完全な花粉を作らずにクローンの種子を作ること、花や葉は大きくて総苞片は反り角状突起が無いこと、春のみではなく夏や秋にも花が咲くことが特徴です。通常日本タンポポとの雑種はできにくいそうですが、時に減数分裂で受粉可能な花粉を作って雑種ができます。日本タンポポの純粋性を失わせるセイヨウタンポポは、厚生労働省指定要注意外来生物に指定され、難しい問題を含んだ外来植物です。雑種かどうかは外観のみでの判別は難しく、最後はDNAで判別しなければ分かりません。
昔ほど見かけなくなったタンポポですが、町中で見かけるのはほとんどが雑種であり、現在の都市は純粋の日本タンポポには適さない環境のようです。しかし生育に適した野山では逞しく生き残っているそうです。私は日本タンポポの苗や種を販売業者から購入しましたが、純粋な日本タンポポであるという保証はありません。けれどもそうであってほしいと思いつつ育てています。
「たかがタンポポ、されどタンポポ」という言葉が、今回タンポポを育てるにあたって少し調べてみた私の感想で、雑草と思っていたタンポポも結構奥が深いものでした。