日本版EHRの実現を目指す/IT戦略本部「i-Japan戦略2015」  PDF

日本版EHRの実現を目指す/IT戦略本部「i-Japan戦略2015」

 政府のIT戦略本部(本部長=麻生太郎首相)は2015年までの将来ビジョンを示した「i-Japan戦略2015」で、「日本版EHR(仮称)」の実現を目指す方針を明確に打ち出した。EHR(Electronic Health Record)とは、地域の医療機関連携ネットワークを利用して個人の医療・健康情報の共有化を図る取り組み。個人の生涯にわたる保健医療サービスの情報管理基盤となることが期待されているほか、国レベルでは医療の質的向上、医療費の削減など、医療構造改革の目標を達成するための有力な手段として注目されている。

 IT戦略本部が7月6日に決定したi-Japan戦略2015は、医療・健康分野を3大重点分野の1つに位置付けた。EHRによって、個人が入手した健康情報を医療従事者に提示することが容易となり、医療過誤の減少につながるとしたほか、過去の診療内容に基づく継続的な医療サービスを受けることで不要な検査を回避できるとしている。

 処方せんの電子交付や調剤情報の電子化は、処方情報から調剤情報に至る際の変更内容を、患者や医療機関にフィードバックすることで、医療サービスの安全性や利便性を高めるメリットがあると指摘。匿名化された健康情報を全国規模で集積し、疫学的に活用することで医療の質的向上につなげることが期待できるとした。

 日本版EHRを実現させる方策については、医療機関などでの安全性の確保を前提に、レセプトオンライン化を契機に整備が進むと期待されるネットワーク接続環境を有効に活用する考えだ。

 患者の希望に応じて客観的な医療データを個人に提供したり、個人に提供された情報を本人や医療従事者が活用できる仕組みを実現させるほか、誰が情報にアクセスしたかの履歴も確認できるようにする。このため「社会保障カード(仮称)」構想の検討状況も踏まえ、医療・介護分野のID(Identification)管理の基盤を早期に構築することも求めている。

 具体的な検討課題としては▽処方・調剤情報のデジタル化に必要な制度の確立▽個人の健康情報の安全な収集とその取り扱い方法に関する環境整備▽レセプト情報や特定健診情報などのデータベースシステムの分析・活用方策のルールづくり▽医療の質的向上を図る観点から、収集するデータの対象を拡大するための要件の明確化─などを挙げた。(7/8MEDIFAXより)

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