日本ローカル鉄道の旅 その9/北関東横断、秘湯と渓谷美に感動

日本ローカル鉄道の旅 その9/北関東横断、秘湯と渓谷美に感動

北小路博央(北)

 関東地方にはJR、第三セクター、私鉄を含めてローカル線が多く現存し、JR線だけでも27線ある。2泊3日でどこまで乗りつくせるか、平成22年3月中旬に北関東横断の旅に挑戦した。

 青春18キップとジパング割引の組み合わせをフルに使って高齢者には結構過酷な旅になったのだが…。

(第1日)

 例によって同行3人(家内と用心棒の甥っ子)、7時29分京都発で熱海までは新幹線で突っ走る。ローカル線の旅を目標にしても、所々新幹線や在来線特急を利用しなければ効率的な行程が組めない。その微妙な組み合わせを、パズルのように時間表から読み取るのも楽しみの一つである。

(1)相模線(茅ヶ崎→橋本)33・3km

 ここから青春18キップの出番、典型的な都市近郊線のロングシートで駅弁の昼食は一寸勇気が必要、橋本から横浜線になって八王子まで。

(2)八高線(八王子→高崎)102・5km

 JR八王子駅は愛想のないバカデカい駅、ここで川越行のローカルで八高線の高麗川まで、高麗川で高崎行に乗り換えるところを、三人揃ってトロトロ居眠りをしていて危うく乗り越すところ、危うし高齢者三人組! 高麗川からようやくセミクロスシートでゆっくり座る。高崎駅の50分の待ち合わせでコーヒーブレークと思いきや、駅は工事中でコーヒーショップもオープンしていない。

(3)吾妻(あがつま)線(渋川 川原湯(かわらゆ)温泉)36・4km

 高崎発大前行のローカル列車は一日3本、渋川を過ぎると車窓は暮れなずむ山間に小雨という典型的な過疎ローカル線風景になる。この吾妻線に乗るためだけにここまで来たようなもので、有名な上州の湯「草津温泉」に泊まりたいところだが、JRの駅からバスに乗り継ぎ40分では明日の日程が組めない。やむなく地図と時間表で探しあてた「川原湯温泉」に泊まることにした。

 人っ子一人いない改札口には予約した宿の番頭さんがひとりポツンと待っていてくれた。川原湯温泉は一時有名?になった八ツ場ダム騒動の真っ只中の温泉で、「ダム問題に振り回されて改築もできない…」と番頭さんの愚痴を聞かされる破目に…。建物はボロボロだが、さすがは「上州のいい湯」であった。

吾妻線川原湯温泉駅
吾妻線川原湯温泉駅

(第2日)

(4)両毛線(高崎→小山)91・7km

 7時53分発で高崎まで引き返し両毛線で桐生まで、桐生から待望の「わたらせ渓谷鉄道」に乗り換える。

(5)わたらせ渓谷鉄道(桐生 間藤)44・1km

 鉱毒事件で有名な足尾銅山に至るかつてのJR足尾線は今や有名な第三セクターの観光鉄道になった。一輌のディーゼルカーには真っ赤な制服の二人組の美女?がいて、沿線案内や駅弁の世話までしてくれる。途中の神戸 ごうど 駅で予約の「やまと豚弁当」を買う。終点の間藤駅横の崖は鉱毒のせいか木も生えていない真黒な岩肌であった。

わたらせ渓流鉄道神戸駅の列車レストラン
わたらせ渓流鉄道神戸駅の列車レストラン

「わた渓」の車内販売ガール
「わた渓」の車内販売ガール

(6)水戸線(小山→水戸)66・7km

 桐生から小山まで両毛線を乗りつぶし、小山では3分間の乗り継ぎで駅の長い廊下を小走りで水戸行にギリギリで間に合う。危うし高齢者三人組その2であった。

(第3日)

(7)鹿島臨海鉄道(水戸→鹿島神宮)56・2km

 6時45分水戸発に乗る(年をとると朝早いのは苦にならない)。真赤な車体に白いライン、ロマンスシートまではよいが、エンジンの音がやかましいのに閉口。

鹿島臨海鉄道(水戸→鹿島神宮)
鹿島臨海鉄道(水戸→鹿島神宮)

(8)鹿島線(鹿島神宮→香取)17・8km

 8時7分鹿島神宮発東京行の列車が香取からそのまま特急「あやめ4号」になる。

 (9)成田線(香取→成田)30・5km

 (10)総武本線(成田→東京)68・4km

 東京駅の地下ホームから新幹線ホームまでの遠いこと、一駅間位ありそう。小田原まで「こだま」を利用して在来線で国府津まで引き返し、御殿場線に乗るべしが国府津駅で快速と鈍行とを間違えて乗り換えて大慌て(危うし高齢者三人組その3)。

 (11)御殿場線(国府津→沼津)60・2km

 今回最後のローカル線は、思い入れに反して完璧な都市近郊線、国府津駅乗り継ぎ2分で跨線橋越えはこたえた。JRはローカル線利用の乗客に何故こんなに冷たいのか。「どうせ赤字だから乗ってくれなくてもよい」ということか。

 未乗線11を乗りこなして、たどり着いた沼津で、昼食の「日本一のうなぎ」がおいしかったこと!!

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